中学生の再定義
2018-10-01 20:41:29
被災地の中学生が描く『ふるさと』の再定義と国籍を超えた対話の記録
被災地の中学生が「ふるさと」を再定義するプロジェクト
東日本大震災と原子力災害によって大きな影響を受けた福島県双葉郡の広野町。ここでは、子どもたちが地域に根ざした学びを実践する取り組みが行われています。特に注目すべきは、広野中学校で実施されている「シネリテラシー」という教育手法です。この手法は、子どもたちが映画制作を通じて地域の様々な側面に焦点を当て、取材を行い、集まった情報を元に映像作品を作り上げるものです。
映像制作を通じての学び
昨年度からこのプロジェクトに参加している中学生たちは、「皆にとってのふるさととは何か?」というテーマを掲げ、自分たちの言葉で「ふるさと」を再定義することに挑戦しました。これは、平凡な日常用語である「ふるさと」を、各自の経験や感覚に基づいて考えるいい機会となりました。プロの映像作家や大学生スタッフの指導を受けながら、彼らは取材や撮影を重ねていきました。
中学生たちの作品は、「愛しのAiAi」「思い出商店街〜みんなで語ってみっぺ〜」「ふわふわふるさと」「広野の自然それぞれのふるさと」の4本です。これらの作品は、彼らの日常生活や思い出という視点から地域を捉え、映像に映し出すことで、それぞれの「ふるさと」の持つ意味を考察する試みです。
試写会での国際対話
10月9日には、完成した作品の試写会が開催されました。この試写会には、元ロンドン大学教育研究所の所長で、メディアリテラシー研究の第一人者であるデビッド・バッキンガム氏が参加しました。彼との対話では、国境や文化を越えて「ふるさと」というテーマについて意見を交わしました。中学生たちは、自らの考えを他者に伝え、また他者の意見を受け入れることで、新たな気づきを得ました。
この様子からは、被災地の子どもたちが持つ独自の視点と、地域での学びがいかに重要かを示すことができました。少子高齢化という課題に直面する中、彼らは地域に対して新たなメッセージを発信するための立場を確立しつつあります。
教育プロジェクトの広がり
この「ひろの映像教育プロジェクト」は2015年に始まり、福島県での復興を目指して活動してきました。さらに、東京都や長崎県などでも同様のプロジェクトが立ち上がっており、全国的に広がりを見せています。多様性を重視したこの教育手法は、オーストラリアの事例を参考にしており、駐日オーストラリア大使館からも支援を受けている点が特筆すべきです。
未来への展望
中学生が制作した作品は試写会終了後にオンラインで公開予定です。この作品はただの映像ではなく、未来あるいは地域を見つめる子どもたちの思いが込められています。ぜひこの機会に、彼らの目線からの「ふるさと」に触れてみてください。
会社情報
- 会社名
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一般社団法人リテラシー・ラボ
- 住所
- 東京都渋谷区代官山町15‐9代官山センタービル4F
- 電話番号
-
080-1054-0872