メンタル不調と経済損失
2025-06-11 14:31:23

メンタル不調がもたらす驚くべき経済損失とは?4.8兆円とGDPの1.1%に相当

メンタル不調がもたらす驚くべき経済損失とは?



最近の研究により、働く人々が心身の不調を抱えながら仕事を続けることで、日本全体において年間約4.8兆円の生産性損失が生じていることが明らかとなりました。この金額は、日本のGDPの1.1%に相当し、精神疾患の医療費の7倍以上に匹敵します。このような数値は、現代社会においてメンタルヘルスがどう重要であるかを示しています。

研究の背景



横浜市立大学の原広司准教授と産業医科大学の永田智久准教授が共同で行ったこの研究は、全国27,507名から得られたデータに基づいています。特に注目すべきは、心身の不調を抱えることで仕事のパフォーマンスが低下し、結果的に経済的な損失が生じるプレゼンティーズムの影響です。そのため、出勤はしていても心身の状態が良くない従業員が多く存在することが、企業や社会全体に深刻な影響を及ぼしています。

メンタル不調の影響



調査の結果、「気分が沈む」「眠れない」といった心の不調が経済的損失に繋がっていることが確認されました。プレゼンティーズムから生じる損失額は約4.67兆円と推定され、欠勤(アブセンティーズム)による損失は約0.19兆円という結果に。合計すると、約4.8兆円もの損失が発生しているのが現状です。

この結果は、精神疾患にかかる医療費と比較しても大きな差があり、具体的な数字でメンタル不調の影響を可視化したとして評価されています。特に、20〜30代の女性において心身の不調を感じている割合が高く、この世代に対する対策の必要性が示唆されています。

研究の意義



本研究は、メンタルヘルスに関連する問題が個人の生活だけでなく、経済政策や労働施策にも深くかかわるべき重要な課題であることを示しています。企業や行政においては、早急に支援体制を整えることが求められています。また、メンタル不調を早期に発見し、改善を図るための科学的なアプローチや評価が必要です。

今後の展望



メンタルヘルスを改善するための施策が今後進むことで、働く人々のパフォーマンス向上や生産性の改善に繋がります。研究チームは、心の健康を支える社会づくりに貢献することを目指し、引き続き治療法やサポート手段の評価を行っていく方針です。人々が健康で活力ある社会を築くために、各方面からの協力が重要です。

また、この成果はメンタルヘルスの重要性を再認識させるものであり、心身の健康を大切にすることが社会全体にとっても利益をもたらすということを明らかにしています。これからの時代、メンタルヘルスのケアと支援が一層重要となることでしょう。

研究費



この研究は、AMEDやJST、厚生労働省、日本学術振興会、コラボヘルス研究会からの支援を受けて実施されました。

論文情報


  • - タイトル:The Impact of Productivity Loss From Presenteeism and Absenteeism on Mental Health in Japan
  • - 著者:Koji Hara, Tomohisa Nagata, Masaaki Matoba, Tomoyuki Miyazaki
  • - 掲載雑誌:Journal of Occupational and Environmental Medicine
  • - DOI:10.1097/JOM.0000000000003431

用語説明


  • - プレゼンティーズム:出勤しているものの、心身の不調により生産性が低下した状態。
  • - アブセンティーズム:病気やメンタル不調による欠勤。
  • - Quantity and Quality method:プレゼンティーズムを評価する手法。
  • - 確率感度分析:推計における確率的要因を考慮する手法。

メンタルヘルスの改善は私たち全ての責任であり、これからの社会をより良くするための第一歩です。


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会社情報

会社名
横浜市立大学COI-NEXT拠点 Minds1020Lab
住所
神奈川県横浜市西区みなとみらいオーシャンゲートみなとみらい 8F
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