水害対策の新境地が福岡市に登場
日本の都市部において、大雨による内水氾濫は深刻な問題となっています。この度、株式会社日水コンと株式会社クボタの100%子会社であるクボタ環境エンジニアリング株式会社は、AIと物理モデルを駆使した「水害対策ワンストップソリューション(都市下水予測)」という新たなソリューションの実証実験を福岡市で展開することになりました。この取り組みは、福岡市が公募した「実証実験フルサポート事業」に採択されたものです。
水害の現状と課題
都市部では、雨水管路が整備されていますが、豪雨の際にはネットワークがパンクしてしまい、浸水被害が発生する恐れがあります。内水氾濫が起こると、住民の生活は困難になり、雨水ポンプ場を運転して雨水を排水する必要があります。しかし、ポンプ場を手動で操作する場合、操作員は豪雨がいつ来るか分からず、待機する負担が大きくなります。これを解決するための新たなアプローチが今回の実証実験で検証されます。
ソリューションの概要
「水害対策ワンストップソリューション」は、AIによるリアルタイム浸水予測と雨水ポンプ場の運転を一体化したものです。具体的には、過去の管路水位データを学習したAIが、現在の水位から豪雨時の状況を予測します。また、地形や河流データを使って浸水の可能性を算出し、重要なポイントでの水位を正確に把握します。さらに、クボタの運転計画シミュレーターと連携し、ポンプの運転計画の立案を行うことで、操作員の負担を軽減することを目指しています。
実証実験の詳細
この実証実験は7月1日に開始され、実際の豪雨時における本ソリューションの精度や効果を検証します。主な内容には、氾濫危険箇所での水位予測による人員配置計画の支援や、ポンプの運転予測を用いた操作員の支援が含まれます。これにより、豪雨に対する迅速な対応が可能となり、住民の安全をより確実に守ることができるでしょう。
未来への展望
今後、日水コンとクボタ環境エンジニアリングは、実証実験を通じて予測システムの精度をさらに向上させ、全国の自治体に向けてこのソリューションを提供していく計画です。そして、地域住民が水害リスクから解放された社会の実現を目指します。持続可能な未来社会の実現にも貢献し、安心・安全な生活を提供する取り組みが期待されます。
このような先端技術を活用した水害対策が実用化されることにより、都市部の豪雨に対する備えが大きく進化するでしょう。福岡市の実証実験は、他の自治体にとっても大きな参考となり得る大きな一歩と言えます。今後の進展が非常に楽しみです。