高感度ダイヤモンド線量計
2026-03-05 14:17:25

ダイヤモンド線量計の高感度な性能を実現する新技術を解説

ダイヤモンド線量計の高感度な性能を実現する新技術を解説


東京都立大学大学院とOrbray株式会社が共同で行った研究は、放射線線量計の最新の進展を示す重要な成果を上げました。この研究では、ヘテロエピタキシャルダイヤモンド(HED)を用いた線量計が中心となり、特にその感度は驚異的な数値を記録しました。

1. 研究の背景


近年、医療における放射線の利用が拡大しています。特に診断X線撮影やCT検査、IVR(画像下治療)、放射線治療において放射線測定技術は不可欠です。しかし、患者被ばくの最適化や線量の記録・管理が国際的に強く求められる中で、小型かつ高感度、高精度な線量計の重要性が増しています。従来の空気充填型電離箱は、長年にわたり高い信頼性を持つ一方で、サイズや感度に限界があります。これに対して、ダイヤモンドはその物理特性から新たな解決策として期待されています。

2. 研究の成果


2.1 固体電離箱の評価


本研究では、4 × 4 × 0.5 mm³の単結晶ダイヤモンド基板を用いて、固体電離箱(HED-IC)を開発しました。このデバイスは、診断X線領域(50–120 kV)において−1〜−100 Vの低電圧で動作することが確認され、線量直線性はR² > 0.997、エネルギー依存性も10%以内に抑えられる安定した特性を示しました。特筆すべきは、その感度です。−100 V印加時には、一般的な空気充填型電離箱と比較して単位体積あたり最大約13,000倍の感度を示し、小型化しつつも高感度な線量計としての可能性を示しました。

2.2 光刺激蛍光特性の評価


さらに、窒素濃度の異なるヘテロエピタキシャルダイヤモンドを用いて光刺激蛍光(OSL)の特性を評価しました。調査結果は、窒素濃度1 ppmの試料においてOSL強度が約1桁増大することを示し、窒素関連欠陥が発光プロセスにおいて重要な役割を果たすことを確認しました。また、プレ照射による可逆的な増感現象も確認され、発光特性における新たな知見が得られました。

3. 研究の意義


本研究は、医療分野における高感度な放射線検出機器の開発にとって重要な礎を築きました。ダイヤモンドを用いた小型で高感度な固体電離箱が実証されたことで、これまでの空気充填型電離箱の限界を超える可能性が高まりました。
医療用途において、これらの技術は装置組込み型線量計や局所線量評価に活用されることが期待されます。また、他の研究分野においても、ダイヤモンドを用いることで新たな材料設計の指針が得られるなど、将来的な展望が広がることにもつながります。

4. まとめ


東京都立大学とOrbrayによるこの共同研究は、放射線計測技術の進化を示すものであり、多機能放射線検出材料としてのダイヤモンドの可能性を証明しました。今後の研究や医療への応用が期待されます。


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