AIによる視力予測
2026-03-05 14:24:49

AIを駆使した網膜色素変性症患者の視力予後予測法の開発

AIによる網膜色素変性症の視力予後予測



千葉大学大学院医学研究院の馬場隆之教授および川上英良教授らの研究グループは、遺伝性の指定難病である網膜色素変性症(RP)の視力予後を高精度に予測するための新しい技術を開発しました。この研究は眼底写真を基にした大規模深層学習モデルを活用しており、患者の視力低下を安定して予測できることが示されています。

研究の背景



網膜色素変性症は、視細胞が徐々に障害されることで視機能が低下し、最終的には失明に至ることもある疾患です。国内では約3万人の患者がいると推定されていますが、進行速度や症状には大きな個人差があります。そのため、現在の段階では確立された治療法はなく、対症療法やロービジョンケアが行われています。特に、視機能の低下が始まる前にケアを受けることが高い効果を上げるとされています。

これまで、RP患者の未来の視力を知ることは難しく、予後予測は介入の効果を最大化するための重要な要素とされています。

研究の成果



研究チームは、大規模な眼底画像データを使用し、四つの既存の深層学習モデルを基にRP診断モデルを構築しました。その中で最も優れた診断精度を示したのがEfficientNetB4モデルでした。次に、画像データと視力予後の臨床データを組み合わせて予測モデルを構築し、時間依存性AUCを用いて評価を行いました。この評価には千葉大学医学部附属病院で収集した過去のデータが活用され、252名から496眼、179名から334眼のデータが使用されました。

その結果、RPの診断精度は非常に高く(AUC=0.94)、視力予後予測では、眼底写真撮影後500日から1,400日間の視力低下を安定的に予測できることが示されました(平均AUC=0.82)。これにより、経験豊富な眼科医でも検出が難しい微細な変化をAIが捉え、診断支援ツールとしての役割が期待されます。

さらに、本研究ではAIが診断や予測の際に重視している網膜の領域を可視化するためにヒートマップを利用しました。これにより、診断モデルと予後モデルが異なる領域を重視していることが明らかになり、AIの判断根拠を明示することで、信頼性向上やRPのメカニズム理解にも寄与することが期待されます。

今後の展望



今回開発された予後予測モデルは、早期に視力喪失が予想される患者に対する迅速な治療介入のための基盤を提供することが期待されています。また、AIによる解析結果が可視化されたことで、RPによる視力低下のメカニズム解明が進むと考えられています。現段階では単一施設のデータに基づいているため、今後は外部データセットや多施設データを用いた検証が続けられていく予定です。

結論



今回の研究成果は、網膜色素変性症という難病における視力予後の理解を新たな次元に引き上げるものであり、早期介入や効果的な治療が実現する未来が期待されます。今後の臨床応用の進展が待たれます。

この研究成果は2026年1月8日に国際科学誌npj Digital Medicineで公開されます。


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