東京大学IPCがVisbanへの出資を発表、通信技術の革新へ期待
東京大学協創プラットフォーム開発株式会社(通称:東大IPC)が、東京都世田谷区に本社を構えるスタートアップ、株式会社Visban(ヴィスバン)に対して出資を行うことを正式に発表しました。この投資は、東大IPCが運営するオープンイノベーション推進1号投資事業有限責任組合(AOI1号ファンド)を通じて実施されます。また、この出資には大日本印刷株式会社や三菱マテリアル株式会社の投資ファンドも加わり、共同投資が行われています。
ミリ波通信技術の重要性
近年、VR/ARや8K映像、自動運転といった技術の発展に伴い、高速かつ低遅延の無線通信が求められています。ミリ波通信はその解決策として注目されていますが、到達距離が短いことや障害物による信号の遮断といった課題が存在します。従来のインフラ整備には多額のコストがかかるため、これを克服する新たな技術が必要とされています。
Visbanは、これらの課題を解決するために、RFデバイスにガラス基板を活用したV-Mesh技術を開発しました。この技術は、コストを抑えつつさまざまな高度な技術アプリケーションに対応できる信頼性の高いミリ波通信を提供します。具体的には、ガラス基板を使用することで高精度なアンテナを製造し、信号の損失を低減することが可能になりました。また、台湾の工業技術研究院(ITRI)との連携により、実証実験も進行中です。
グローバルチームの構成
VisbanのV-Mesh技術の中心を担っているのは、アロキア・ネイサン博士です。彼は元ケンブリッジ大学の教授で、高周波信号に関する広範な研究を行ってきたスター・サイエンティストです。また、会社の代表であるエスビー・チャーや、業界での豊富な経験を持つ桒田良輔と共に、グローバルなビジネス展開を目指しています。アロキア博士は、「日本の製造業は高周波に強みを持っており、東京は新たなスタートアップには最適な環境です」と述べています。
資金調達と事業プラン
Visbanは、今回の資金を使い、AI駆動のV-Mesh技術の社会実装を2025年を目指して開発するとしています。また、ビジネスマネージャー、RFシステムエンジニア、AIエンジニアを募集中で、東京でのチーム拡大も積極的に行っています。
東京大学IPCのパートナー古川圭祐氏は、「Visbanの革新的な技術には大きな期待があります。彼らのアプローチは通信業界を含む多くの分野にプラスの影響をもたらすでしょう」とコメントしています。
AOI1号ファンドの目的と今後の展望
AOI1号ファンドは、企業とアカデミアの連携を強化し、スタートアップの育成を目的として2016年に設立されました。今後も東京大学との連携を通じて、オープンイノベーションの成功事例を作ることを目指しています。これにより、Visbanのような技術系スタートアップが成長するための道筋を築くと期待されています。
Visbanの今後の動向に注目です。