星野富弘が描いた生きる喜び
2024年9月19日、株式会社 Gakkenから新装版の詩画集『ありがとう私のいのち』が発売されます。著者の星野富弘氏は、四肢の自由を失うという逆境の中で「描く」ことで生きる喜びを見出し、彼の著作や作品は多くの人に感動と勇気を与えてきました。
星野富弘氏は1946年に誕生し、高崎市立倉賀野中学校で教師として活動をしていました。しかし、教職に就いて2か月足らずで、運動機能を大きく損傷してしまいます。首から下の動きが失われた彼が、口に筆をくわえることで詩や絵を描くことを始めたのは、彼にとって新たな人生の幕開けでした。
いのちの軌跡
新装版では、星野氏の原点となる作品が厳選され、「あきらめない心」「ありがとう私のいのち」「おかあさん」という3つのテーマに分かれています。これまでの彼の生き様を追いながら、どのように彼が生きる喜びを見つけ、感謝の心を育んできたのかを知ることができます。
星野氏は「すべてを失ったと思ったが、気がつくと、私にはまだ、たくさん残されているような気がした」と語っています。彼の言葉は、どんな状況にあっても希望を忘れず、感謝の心を抱いて生きることの大切さを教えてくれます。
愛と支え
新装版の巻末には、星野氏の妻である星野昌子さんの言葉が掲載されています。彼女は、「富弘さんがいなくなって、ひとりで作品を見ていると、描いている時を思い出し、涙があふれてきてしまいます」と心の内を語ります。昌子さんは43年間、彼の創作活動を見守り、支え続けた存在であり、その言葉には愛と敬意が込められています。
彼の作品は、医療・福祉の分野でも多くの人に触れられており、全国で「花の詩画展」が開催されるなど、彼のメッセージは広く伝わっています。富弘美術館がある群馬県への訪問も、彼の詩画に触れる良い機会となるでしょう。
詩画が伝えるもの
星野富弘氏の詩画は、単なるアートではなく、彼自身の闘病記でもあります。病室に閉じ込められた中で描かれた「お富」の文字が、彼の初めての作品であり、その後具現化された詩画たちは、彼の想いの結晶です。今も多くの人々に愛され、感動を与え続けています。
新たに発売される『ありがとう私のいのち』は、そんな星野氏の生きる力、愛のメッセージを再確認させてくれる一冊です。彼の作品に触れることで、困難に直面したときにこそ、生きる喜びを見つけられるのだというメッセージを受け取ることでしょう。
この機会に、星野富弘氏の詩画集を手に取り、彼の思いに耳を傾けてみてはいかがでしょうか。