2025年6月18日、東京都中央区に位置する株式会社ICT総研が、山手線における5G通信速度について実測調査の結果を発表しました。この調査は、2020年に開始された5Gサービスの進捗を評価する目的で行われ、特に国内の主要携帯キャリアであるNTTドコモ、au(KDDI)、ソフトバンク、楽天モバイルの通信の実態を把握することに重点を置いています。
調査は、6月10日から11日の間に実施され、東京都内のJR山手線にある全30駅とその間の移動中60地点を対象としました。測定にはGoogle Pixel 7aを使用し、速度測定サイト「インターネット速度テスト」を活用しました。各地点において下り(ダウンロード)と上り(アップロード)速度をそれぞれ3回測定し、データを集約しました。調査は朝夕のラッシュ時間帯を避けた閑散時間帯で行われ、より正確な結果を得るための工夫がされています。
通信速度ランキング
調査の結果が明らかになりました。全60地点での下り通信速度では、auが168.6Mbpsを記録し、堂々のトップとなりました。次いでNTTドコモが164.2Mbps、ソフトバンクが157.7Mbpsと続き、3社の通信速度は相互に接近した高水準を保っています。全キャリアの平均下り速度は127.0Mbpsで、前回の2023年7月調査の100.7Mbpsに対して大幅な進歩が見られました。
特に注目すべきは、NTTドコモが前回調査時の66.4Mbpsから一気に100Mbps以上の速度にまで向上したことです。この改善は、同社が積極的に行っている通信環境の改善策の成果と考えられます。一方、楽天モバイルは前回調査から若干下落し、更なる改善が求められる状況です。
上り通信速度の平均では、ソフトバンクが45.7Mbpsでトップを維持し、次いでauが40.2Mbpsと続きました。一般的に上り通信速度は下りに比べ遅い傾向が見え、今後のさらなる改善が期待されます。
5Gエリアの拡大
調査によると、全60地点における5G受信地点比率は4社平均で94.2%に達し、前回調査の77.5%から大きな改善を見せました。特にauとソフトバンクは全60地点で100%の受信を確認しました。NTTドコモも98.3%、楽天モバイルも78.3%と、それぞれ受信可能エリアを大きく拡げています。この結果は、各キャリアが進める5Gエリアの拡大に裏付けられた成果です。
通信速度の推移
さらに、通信速度の長期的な推移にも注目が集まります。2019年12月に行われた調査では、下り通信速度が29.8Mbpsだったのが、今回の調査で127.0Mbpsにまで増加しました。この4倍以上の成果は、携帯電話業界が5Gサービスを開始してからの進化を示しています。
最速地点と最遅地点
最後に、下り通信速度の最速地点と最遅地点についても報告します。最も高い速度が確認されたのは目黒駅の391.5Mbpsで、田町駅、鶯谷駅、五反田駅と続き、これらの駅は300Mbpsを超えました。しかし、最も遅い地点は品川~大崎間で3.4Mbpsという結果に留まっており、追加の改善が必要な状況です。特にこの区間の速度は前回調査に比べて低下しており、今後の注目が集まります。
今後もICT総研はつながりやすさや通信速度に関する実測データを定期的に提供し、ユーザーの利用シーンを支えることを約束します。通信環境がより便利になる日を期待しましょう。