国際海運におけるGHG削減の新ルール策定が進む

国際海運における新しいGHG削減ルール



2023年9月30日から10月4日まで、英国ロンドンで国際海事機関(IMO)の第82回海洋環境保護委員会(MEPC 82)が開催されました。この会議では、国際海運における温室効果ガス(GHG)削減のための新しいルールについての交渉が行われ、各国の提案を基にした条約改正案がまとめられました。今回は、この重要な会議の結果について詳しくお伝えします。

GHG削減に向けた国際的な取り組み



IMOの第80回海洋環境保護委員会で採択された「2023 IMO GHG削減戦略」において、国際海運は「2050年頃までにGHG排出をゼロ」とする目標を掲げています。また、「2030年までにゼロエミッション燃料の使用割合を5~10%にすること」も含まれています。

今次会合では、これらの目標を実現するための新たなルールの導入に関する具体的な議論が進められました。日本は欧州諸国と共同で、船舶からの燃料のGHG強度を規制する制度や、GHG排出に課金しゼロエミッション燃料船への還付を行う経済的手法を提案しました。この提案は条約改正案としてまとめられましたが、いくつかの課題も残されています。

審議された主なポイント



1. GHG強度の規制に関する課題
舶用燃料のGHG強度をどのように計算するか、規制水準や柔軟性措置の適用の是非、途上国関連航路への優遇措置を導入するかどうかなど、今後の検討事項が多く残されています。

2. 課金・還付制度の導入
GHG排出に対する課金導入への反対意見もあり、どのようにこの制度を進めるかが引き続き重要となるでしょう。

また、次回の会合は来年4月に予定されており、その際には条約改正案の承認に向けた作業部会も開催されることが合意されました。国際的な合意形成に向けた取り組みは続きます。

環境保護へのさらなる措置



会議では、NOxおよびSOxの排出規制エリアを拡大し、カナダ北極海域とノルウェー海域を新たに追加するMARPOL条約附属書VIの改正案も承認されました。これにより、2026年3月1日から新たに規制が施行されることになります。

さらに、バラスト水規制管理についても議論が交わされ、次回の会合ではバラスト水処理設備の運用中の性能維持に関する対策についても引き続き検討が行われる予定です。

まとめ



国際海運からのGHG削減に向けた新たなルール策定の動きは、今後も続く見込みです。各国は協力し合い、持続可能な海運を実現すべく取り組んでいく必要があります。地球環境を守るため、海運業界における温室効果ガス削減がどのように進展するのか、引き続き注視していく必要があります。

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