浮体式洋上風力発電の新たな挑戦:大林組の技術開発
株式会社大林組(東京都港区)は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が実施した「浮体式洋上風力発電の導入促進に資する次世代技術の開発」を目的とした公募に提案を行い、プロジェクトを採択されました。このプロジェクトは、TLP型ハイブリッド浮体式洋上風車支持構造物の実用化検証を目指しています。
開発の背景
大林組は、浮体式洋上風力発電の新たな係留形式であるTLP型に取り組んでいます。TLP型は、鉄筋コンクリートと鋼製部材を組み合わせたハイブリッド構造を特徴としており、これにより複数の技術的利点を持っています。具体的には、セミサブ型に比べて浮体の建設費が25%も削減できることや、ドライドックを用いずに陸上での製作が可能である点が挙げられます。さらに、浮体の揺れを低減することで発電効率が約8%向上し、海域占用面積も大幅に縮小できるといったメリットがあります。
プロジェクトの目的
本開発テーマでは、まずは実用化に向けた技術課題の解決が求められています。具体的には、商用規模の浮体製作と実海域における運用に関する技術的な検証を行います。
取り組み内容
1.
技術課題への対応
- 風、波、および潮流の影響を考慮した係留設計手法の高度化を進め、安全性と経済性の両立を目指します。
- 大水深海域におけるサクションアンカーの設置および係留索接続作業に対する無人化施工技術の実証試験を2027年夏に実地で行い、施工時の安全性と生産性の向上を図ります。
- 浮体と係留索を繋ぐテンドンコネクターの疲労耐久性を検証し、長期運用に必要な構造信頼性を確認します。
2.
実海域実証の検討
- ユーラスエナジーホールディングスとの連携を深め、次段階の1MW級風車の実海域実証に向けた設計や施工方法、電気設備に関する詳細な検討を進めます。
- TLP型浮体の構造を合理化し、コスト低減を図ります。
企業の役割
それぞれの企業が果たす役割も明確です。ユーラスエナジーホールディングスは、実証に向けた立地計画や風車の調達に関わる検討を担当します。一方、大林組は、係留設計手法の高度化や無人化施工の実証を推進し、コネクターの耐久性検証、構造の合理化といった技術的な作業を行います。
未来への展望
本プロジェクトの成果は、2028年度以降に1MW級風車を搭載した浮体の実海域実証へとつながる見込みです。さらに、得られた技術的知見を基に、商用規模のプロジェクトに展開することで、浮体式洋上風力発電の普及を進め、脱炭素社会の実現へ貢献することを目指します。
浮体式洋上風力発電は再生可能エネルギーの一環として、今後の社会において更なる重要性を増すことが期待されています。大林組の挑戦は、その技術革新を通じて持続可能な未来へ向けた一歩となるでしょう。