KALRAYの革新的デモがCEATEC JAPAN 2012で注目を集める
2012年のCEATEC JAPANが幕張メッセで開催される中、フランスの半導体企業KALRAYが注目の新技術デモを発表しました。彼らの最新プロセッサー「MPPA®-256」を用いたデモは、産業界における強力なソリューションとして期待されています。
MPPA®-256の特長
MPPA®-256は、28nmプロセスで製造された256コアのプロセッサーであり、これはMPPA MANYCOREプロセッサーファミリーの初の製品です。このプロセッサーは、16個のクラスターから構成されており、各クラスター内には16コアが存在します。特に、VLIW(Very Long Instruction Word)技術を基にした低消費電力設計が特徴で、32-bit及び64-bitの浮動小数点演算ユニットを装備しています。これにより、MPPA®-256は高い演算能力を持ちながら低消費電力を達成しています。
デモ内容
CEATEC JAPANでは、KALRAYが4つの異なるデモを披露しました。最初に行われたのはビデオエンコーディングのデモです。SDIソースから1080pのH.264ビデオをエンコードし、その処理はMPPA MANYCOREチップ上で行われます。このデモでは、エンコーダーがx264オープンソースエンコーダーの並列処理機能を活用し、リアルタイムでエンコーディングの品質を評価できます。ビットレートは品質によって異なり、平均出力は3~13Mb/秒に達します。
次に、拡張リアリティーを利用した保守支援デモも行われました。このデモでは、ガス管配線パネルの3Dモデルとリアルタイムのビデオを組み合わせ、仮想指示で保守手順を示します。複雑な画像アルゴリズムはVGA解像度で処理され、スムーズな表示を実現しています。
さらに示されたのは産業用オートメーションのデモで、17個のPLC(Programmable Logic Controller)を数個のコアで同時に処理する様子が披露されました。各PLCはMPPAプロセッサーの異なるコアで運用され、これにより効率的な制御が可能になっています。特に、CCDセンサーカメラのビデオ信号を処理するために3つのコアが利用されます。
最後に、パッシブソナーのデモでは、高演算指向のビーム形成アルゴリズムを使用し、複数のコア上で音源位置を特定する処理が行われました。このデモは、MPPA MANYCOREの高い処理能力を示すものとして注目されていました。
KALRAYの未来
KALRAYのCEOであるJoel Monnierは、「日本の産業用エレクトロニクス市場は非常にダイナミックであり、KALRAYにとって大変有望です」と述べています。また、Kalray Japanの代表取締役杉山和美は、東京にオフィスを開設することでMPPAプロセッサーの技術普及に力を入れつつ、アプリケーションチームの拡大を計画していることを明かしました。
Kalrayは従来の技術を越えた新しいソリューションを、日本の産業界に提供し続ける意欲を持っています。今後もその動向から目が離せません。興味のある方はCEATEC JAPANのブース6D20にぜひ足を運んでみてください。
KALRAYについて
KALRAYは2008年に設立され、小~中量の高性能アプリケーション向けに新世代メニーコアプロセッサーを提供するファブレス企業です。主な応用分野には画像及び音声信号処理、科学計算、通信インフラなどがあります。
詳しい情報は公式ウェブサイト
kalray.euをご覧ください。