擁壁安全管理調査の結果
一般社団法人 日本擁壁保証協会が行った「2025年度 日本擁壁実態調査」の結果によれば、全国の自治体の約69.9%が民有地の擁壁所在を「把握できていない」と回答しました。この調査は、自治体における擁壁の安全性や維持管理の実態を把握するためのもので、地域住民の安全向上を目指しています。
調査の背景
最近、老朽化した擁壁の崩壊事故が相次いで発生しており、これを受けて調査が実施されました。結果として、民有地の擁壁を把握できていない自治体が69.9%、公有地でも61.6%に達したことが判明しました。安全管理の第一歩として、擁壁の現状を把握することがいかに重要であるかが浮き彫りとなりました。
調査で明らかになった現状
調査結果では、擁壁の安全管理に関する情報として以下の項目が明らかになりました:
- - 民有地の既存擁壁の点検実施状況を「把握できていない」が60.3%
- - 公有地の既存擁壁の点検実施状況を「把握できていない」が63.0%
これらの結果から、安全対策を進める前にまず必要な「現状把握」が、全国の多くの自治体で大きな課題となっていることが分かります。
複合課題の背景
「把握できない」理由として、民有地であるが故の指導・介入の難しさや、専門技術職員の不足、予算の制約などがあることが調査で示されました。具体的な自由記述の中では、「隣地の擁壁が危険であるため指導してほしいと要望されているが、要望者が所有者でないため直接的な指導ができない」といった声や、予算が不足しており詳細な状況把握が難しいとする意見が寄せられています。これらの課題は、特定の自治体だけの問題ではなく、全国的に共通する構造的な問題と考えられます。
課題解決に向けて
日本擁壁保証協会は、調査結果を基にして自治体との連携を強化し、状況の共有を進め、安全なまちづくりに向けた取り組みを継続します。具体的には、他自治体の良い事例の紹介や、危険度判定のノウハウ提供を通じて、現場が「次の一手」を見つけられるように支援を行う考えです。
また、自治体からは「国に相談窓口や補助制度が必要」といった声も寄せられています。これに対して協会はデータの継続的な発信や先進事例の共有を行い、情報ハブとしての役割を果たします。
調査概要
この調査は全国157自治体394部署を対象に、郵送とインターネットを通じて行われました。調査期間は2026年2月10日から3月31日までで、有効回答数は73件にのぼりました。
お問い合わせ
本調査結果や擁壁の安全管理に関するご相談は、日本擁壁保証協会の事務局までご連絡ください。また、先進事例の情報提供や個別相談にも対応しています。詳細はこちらの公式ウェブサイトをご確認ください。
日本擁壁保証協会