ガザ危機1年にあたっての意識調査
2023年10月、イスラエルとハマスの間で戦闘が激化してから間もなく1年を迎えます。このタイミングで、国境なき医師団(MSF)日本は日本社会におけるこの人道危機への関心を調査しました。調査結果には、驚くべきことに多くの人々がこの問題について深い関心を持っていることが示されています。
調査の概要
調査の対象には、日本在住の15歳以上を2840人選びました。調査は2024年9月19日から20日にかけて行われ、年齢層は15歳から70歳以上までカバーしています。この結果が示すのは、日本の人々がパレスチナ・イスラエルの人道危機にどう向き合っているかということです。
1. 約60%が人道危機に関心
調査結果は、参加者の57.3%が「パレスチナ・イスラエルにおける人道危機に関心がある」と回答したことを明らかにしました。関心の程度について具体的に見ると、「とてもある」と答えた人は18.4%、また「ややある」という人は38.9%に達しました。さらに、86.1%の人々が関心が「昨年より高まった」もしくは「昨年と変わらない」と述べており、この問題についての関心は根強いことが分かります。
2. 支援したい気持ち
ガザ地区の人道危機に関連する報道に触れると、62.2%の人々が「何か自分にできることをしたい」と感じると回答しました。特に、この意識は10代層で顕著であり、自身の行動に対する強い動機を持っています。
3. 停戦を求める声
多くの人々が抱く願いは「今すぐ停戦してほしい」というものです。具体的には、56.5%がこの意見に同意し、また50.1%が「民間人を巻き込まないでほしい」と表明しました。これは、戦闘の影響を受ける一般市民への強い配慮があることを示しています。
4. 政府の外交努力を重視
調査では、日本からできることとして「停戦に向けた政府による外交努力」が最も多くの支持を集めて49.1%がこの選択肢を挙げました。また、「停戦後の復興支援」についても関心が寄せられています。
5. 意識と行動のギャップ
興味深いことに、「何か自分にできることをしたい」と考える人が多い一方で、実際の行動に移すかどうかについては「分からない・特にない」と回答する人が53.8%に上りました。このことから、関心と行動の間には明らかなギャップが存在していることが浮き彫りになりました。
MSFは、若い世代に向けた情報発信や普及に努めていく方針です。特に、「知りたい」というニーズに応えるための取り組みを強化しつつ、日本政府に対しては停戦に向けた外交努力を提言していく意向を示しています。
MSFのパレスチナにおける活動
MSFは1989年からパレスチナで活動を続けており、ガザ地区やヨルダン川西岸地区において、紛争による影響を受けた人々への医療支援を行っています。約700人の現地スタッフと35人の国際スタッフが、ガザ地区内の2つの病院と8つの医療施設で日々活動しています。
国境なき医師団とは
国境なき医師団は、非営利の医療支援団体であり、危機に瀕する地域で独立かつ中立の立場を守りながら必要な医療援助を行っています。世界73ヶ国で活動しており、約52,000人のスタッフが医療支援に従事しています。変わらぬ人道的支援の必要性を、この調査結果を通じて再確認することができます。