近代建築の巨匠、堀口捨己の世界 - モダニズムから伝統への探求 -
文化庁国立近現代建築資料館では、2024年8月9日から10月27日まで、特別展「建築家・堀口捨己の探求: モダニズム・利休・庭園・和歌」を開催いたします。本展は、近代建築の先駆者として知られる堀口捨己の多岐にわたる活動を、貴重な資料を通して深く掘り下げます。
近代建築を牽引した革新者 - 分離派建築会から国際的な潮流へ
堀口捨己は、大学卒業後、日本初の本格的な近代建築運動である「分離派建築会」を創設した人物として知られています。分離派は、伝統的な西洋建築様式から脱却し、新たな建築の道を模索することを宣言した革新的なグループでした。堀口は、当時のヨーロッパで台頭していたモダニズム建築の潮流をいち早く取り入れ、独自の建築観を確立していきました。その活動は、近代建築における世界的潮流の一端を担う重要なものでした。
和洋の融合 - 茶室と庭園への傾倒
近代建築の直線的な美しさの中に、日本の数寄屋建築との共通点を見出した堀口は、次第に日本文化に傾倒していきます。特に茶室への関心は深く、数多くの茶室を研究し、自らも茶室を設計しました。西洋文化と日本文化の共通点を探し求める堀口の姿勢は、まさに国際的な視野を持った20世紀を代表する建築家の姿と言えるでしょう。
貴重な資料が語る堀口の世界
本展では、これまで各地に分散していた堀口の資料が、国立近現代建築資料館に集結したことで初めて実現した本格的な回顧展です。約200点の展示資料を通して、堀口の建築作品、思想、そしてその背景にある日本文化への深い理解を垣間見ることができます。
特に注目すべきは、堀口の1920年代の欧州視察時の写真、分離派建築会展資料、茶室・庭園の実測研究資料、和歌、手紙など、100年以上前の貴重な資料です。これらの資料は、堀口の建築家としての歩みだけでなく、当時の社会背景や文化状況も映し出し、現代においても新たな発見をもたらします。
茶室原寸模型で空間を体感
本展では、堀口が監修した「茶室おこし絵図集」に掲載された「後藤勘兵衛茶室」を原寸に拡大した模型を展示。その内部に入ることができるため、堀口が設計した茶室の空間を実際に体感できます。
多角的な視点から堀口を理解する
本展と連携して、日本建築学会大会(2024年8月27日~30日)にて「堀口捨己と明治大学校舎建築 1955-65」展が開催されます。両展示を鑑賞することで、堀口の建築家としての多面的で奥深い活動の一端を理解することができます。
展覧会情報
会期: 2024年8月9日(金)~10月27日(日)
会場: 文化庁国立近現代建築資料館(東京都文京区湯島4-6-15 湯島地方合同庁舎内)
休館日: 毎週月曜日(祝日の場合は開館、翌日は休館)
開館時間: 10:00-16:30
詳細情報
文化庁国立近現代建築資料館ウェブサイト:
https://nama.bunka.go.jp
この機会に、近代建築の巨匠・堀口捨己の世界に触れてみませんか。