NECとアメリカのスタートアップ企業 ClimateAi社は、気候変動による影響への対応を目的とした事業共創に向けた覚書を締結しました。この協力により、ClimateAi社の気候リスク予測技術とNECのアグリテック、AI、データ分析に関する専門知識を統合し、持続可能な農業やビジネスのためのソリューションを提供することを目指しています。
近年、気候変動の影響は深刻化しており、食料安全保障や企業のサプライチェーンには新たなリスクが生じています。とはいえ、それに対する投資の効果を明示したり、実施後のモニタリングを行うことは今も難しく、多くの団体が資金調達や予防策の配分に苦労しています。
NECとClimateAi社は、特にアフリカのカカオや米を対象に、AIを活用した灌漑や品種変更、作付け時期の調整などの適応策の効果を定量的に評価するモデルを共同で構築しています。この成果は国際会議を通じて広く発信され、開発機関や企業からも注目されています。新たな覚書は、このプロジェクトを一例に、農業界から企業のサプライチェーン全体にわたる気候レジリエンスソリューションを共創することを目的としています。
具体的な取り組み内容として、まず農業分野ではClimateAiが持つ長期的気候変動予測能力とNECのアグリテック事業の知見を結びつけ、灌漑設備や品種改良の影響を明確にするROI分析サービスを開発する予定です。これにより、適切な農業支援策が国際機関や各国政府によって高度化されることが期待されています。
続いて、製造業や食品業界には、農産物の調達先の最適化や調達農場の強化を行い、業界全体の適応力を高めるサービスが計画されています。また、農業保険など、金融業界向けのデジタルソリューションの構築も視野に入れています。
NECのビジネスイノベーション統括部門の松田部長は、ClimateAi社との協働を心から歓迎し、両者の強みを融合することで、サプライチェーンやインフラの適応力向上に寄与できると断言しています。
一方、ClimateAi社のCEOヒマンシュ・グプタ氏は、NECとのパートナーシップが更なる気候変動対策の推進に繋がると確信しています。彼は農業計画やサプライチェーンの強化に向けた意欲を語っており、今後の連携によって情報に基づく良い意思決定が実現すると期待しています。
この覚書に基づき、両社は優先すべき地域や顧客を定め、関係者との連携強化を進め、商業化を早めていく考えです。NECとClimateAi社は、持続可能な農業と食糧安全を実現するために、今後も抜本的な取り組みを進める予定です。彼らの活動は、気候変動の影響を受ける中で、人々の生活や産業に大きな影響を与えることでしょう。これからの展開に注目です。