宇宙技術者育成プログラムの成果
近年、宇宙産業は目覚ましい発展を遂げており、日本国内でも伝統的な企業に加え、多くのベンチャー企業が新たなアイデアをもとに宇宙ビジネスを展開しています。しかし、これらの新しいビジネスモデルを実現するためには、その根底にある技術者の充実が重要です。そこで、我が校では2021年4月から高度技術者育成プログラムを設け、宇宙でのものづくりを行える人材の育成に取り組んできました。
その一環として、学生が手がけた超小型衛星4号機「BOTAN」が、先日の運用初日に初期ミッションのすべてを達成しました。これにより、4機の超小型衛星が連続して初期ミッションの成功を収めることとなり、このプログラムの成果を如実に示しています。
成功した初期ミッションの内容
「BOTAN」は10cm×10cm×10cm、約1kgのサイズの超小型衛星で、2025年3月にアメリカのスペースX社のロケットによって打ち上げられました。2025年10月10日には国際宇宙ステーション(ISS)から放出され、地上との通信が無事に確立されました。「BOTAN」が達成した初期ミッションは以下の3つです。
1.
衛星が撮影した画像1枚を地球上で復元するという最低限の成功条件をクリア。
2.
APRSを通じて一般アマチュア無線家へのメッセージ送信を成功。
3.
新しい衛星用太陽電池セルの宇宙実証。これは出光興産との共同ミッションです。
これら初期ミッションは、放出後初日で達成されました。この初期成功は「BOTAN」の高い完成度を証明するものです。
今後の計画と観測活動
「BOTAN」は単に初期ミッションをクリアしただけでなく、引き続き様々な宇宙に関する調査が予定されています。数ヶ月以内に、オーロラ観測や太陽フレアの影響、アメリカのサウスダコタ州におけるトウモロコシの生育状況、海底火山噴火時の軽石調査、さらに、ジャイロセンサを用いた衛星の姿勢確認が行われます。これらのデータは、SNSやウェブサイトを通じて公開される予定ですので、興味のある方はぜひチェックしてみてください。
このように、学生たちの手によって作り出された「BOTAN」は、確実に動作する衛星を開発できる人材育成を目的としたプログラムの優れた成果を示しています。今後もこのプログラムが新たな技術者を育て、宇宙産業の発展に寄与することを期待しています。