新たな時代の遠隔コミュニケーションが到来
最近、NTT西日本と新興ベンチャーのtonariが協力し、次世代のビデオ通信技術の実証実験を行うことが報じられました。このコラボレーションは、最新の光通信技術「IOWN」を活用し、超高精細な映像伝送と低遅延の実現を目指しています。
tonariとは?
tonariは、遠隔地同士がまるで対面しているかのようにコミュニケーションを取ることができるビデオシステムです。今まではビデオ通話において、映像の解像度や遅延が課題となり、特にビジネスシーンでの信頼関係の構築には対面での交流が重要視されてきました。しかし、tonariを用いることで、それらの課題が大きく解消されると期待されています。
このシステムは床から天井までを映し出す大型スクリーンを利用し、臨場感あふれるコミュニケーションを実現します。離れていても相手の表情や雰囲気を直感的に感じ取ることができ、非言語情報の重要性も十分に配慮されているのです。
IOWN技術の導入
現在のビデオ通話は1970年代からあまり進化していないとされていますが、tonariは独自の通信技術を駆使してそれを打破しています。特に、IOWN(Innovative Optical & Wireless Network)という光通信の新たな枠組みを取り入れ、その中からAPN(All-Photonics Network)技術が注目されています。この技術により、エンドツーエンドの光波長ネットワークを提供し、消費電力の削減、高速大容量、そして低遅延の通信が可能になるのです。
実証実験の展望
実際の実証実験では、大阪に位置する「QUINTBRIDGE」と「LINKSPARK OSAKA」という2つの拠点が接続されます。QUINTBRIDGEはオープンイノベーション施設として様々な企業やスタートアップが集結し、共同で新たなアイデアや事業を創出しています。一方、LINKSPARK OSAKAはデジタルトランスフォーメーションを推進する拠点であり、関連するセミナーやソリューションの提供が行われています。
この2つの施設をtonariで繋ぐことで、NTT西日本は社内外のコミュニケーションを活性化させ、遠隔地にいても質の高いつながりを確保することを目指しています。
tonariの未来のビジョン
将来的には、tonariの性能はさらなる向上が見込まれており、解像度が16Kや240fpsといった高性能が実現できれば、医療や科学、エンタメなど様々な分野での活用が期待されます。たとえば、遠隔手術やリアルタイムの医学教育、さらにはグローバルなミュージシャンとのセッションなど、これまで対面でしか実現できなかったコミュニケーションが新たに可能になるのです。
専門家の声
NTT西日本の主査である仲宗根慎氏は、tonariの技術がもたらす自然な対話による信頼関係の構築に期待を寄せています。また、tonariの共同創業者兼CTOである川口良氏は、技術革新によってコミュニケーションのあり方が根本的に変わっていくと確信を示しています。
このように、tonariとNTT西日本のコラボレーションは、遠隔コミュニケーションの在り方に革命をもたらす可能性を秘めています。医療、教育、エンターテインメントと幅広い分野での活用が期待される中、私たちの生活や仕事のあり方も大きく変わっていくことでしょう。