株式会社QunaSysとHPCシステムズ株式会社は、化学業界のDX推進に向けた取り組みとして、マテリアルズ・インフォマティクス(MI)向けのプラットフォーム提供で連携することを発表しました。
今回の連携では、QunaSysが開発した実験データ管理プラットフォーム「MIQAN」と、HPCシステムズが開発した高機能材料設計支援ソフトウェア「M-EVO」をセットで提供します。これにより、MIを活用した材料開発に必要なデータベース整備から、所望の化学構造の提案までを網羅し、顧客の材料開発を加速することを目指しています。
両社は、2022年3月28日に量子コンピュータ向け化学計算プログラムの事業展開加速を目的とした資本業務提携を行っており、今回の連携は、その取り組みをさらに深化させるものです。
MIQANは、材料開発における実験と計算をつなぐプラットフォームとして、実験ノート感覚でデータを記録し、画像、動画、分子構造など様々な形式のデータを柔軟に管理・共有することができます。一方、M-EVOは、AIと分子科学を融合することで、新規高機能材料開発を加速させるソフトウェアです。所望の物性を有する分子構造を探索し、実験、計算、データサイエンスを1つのツールでカバーします。データベースを使わずに多様な分子構造を探索可能で、機械学習による高速な分子構造探索やベイズ最適化を用いた実験による絞り込みなどの機能を備えています。
両プラットフォームの連携により、M-EVOで算定した実験計画をMIQANに取り込む、MIQANに記録した実験結果をM-EVOに取り込むなど、実験サイクルの効率化を実現します。
QunaSysは、量子コンピュータの産業応用を早期に実現するために2018年に設立されました。量子アルゴリズムの専門知識なしに量子化学計算を行えるクラウドソフトウェア「QURI™」や量子ソフトウェアSDK「 QURI Parts™」を提供しています。また、企業コンソーシアム「QPARC™」を通じて、産業界におけるユースケース探索の促進、産業界やアカデミア、政府の研究機関との連携を進めています。
HPCシステムズは、ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)分野のニッチトップ企業です。科学技術計算用高性能コンピュータとシミュレーションソフトウェア販売、科学技術計算やディープラーニング(深層学習)環境を構築するシステムインテグレーションサービス、シミュレーションソフトウェアプログラムの並列化・高速化サービス、計算化学ソフトウェアプログラム開発・販売、受託計算サービス・科学技術研究開発支援、創薬研究開発や素材・材料研究開発分野向けサイエンスクラウドサービスまでをワンストップで提供しています。
今回の連携により、両社は計算ソリューションにとどまらず、実験データ活用や材料設計支援においても顧客に価値を提供することで、化学業界のDX推進に貢献していくことを目指しています。