2024年度版中堅企業のサステナビリティ意識調査結果を発表

2024年度版中堅企業のサステナビリティ意識調査結果

太陽グラントソントンは、2024年度版の中堅企業におけるサステナビリティ経営についての意識調査を実施しました。この調査は、世界31カ国の中堅企業の経営者に対し、持続可能な経営に関する認識を問いかけたものです。調査の結果によれば、中堅企業はサステナビリティを市場競争力やブランドの信頼性を高めるための重要な要素として認識していますが、同時に施策の実施にはコストという大きなハードルが存在することも分かりました。

調査の背景

近年、持続可能性は企業活動にとって重要度が増しており、中堅企業も市場競争や顧客からの要請、投資家の圧力に対応するために、サステナビリティ経営に取り組む必要が生じています。しかしながら、多くの中堅企業にとってこれは未知の領域であり、明確な方針や実行の手引きが不足しているのが現状です。本調査は、そのような状況を踏まえ、中堅企業がいかにしてサステナビリティを取り入れようとしているのか、またどのような障壁が存在するのかを明らかにしようとしています。

サステナビリティのビジネスチャンス

調査によると、中堅企業はサステナビリティを重視する理由として、ブランドの信頼性や市場競争の激化を挙げています。具体的には、調査対象国の中で平均すると19%がブランドの信頼性を、そして日本においては23%が市場競争に関連した要因を最重要視しています。消費者は信頼できるブランドへの支持を高めており、投資家も長期的な価値を重視するようになっています。

懸念と障害

調査結果では、サステナビリティ施策を実施する上での最大の障壁がコストであり、日本では20%の企業が、その理由で施策の導入をためらっています。さらに、サステナビリティに関する規制の複雑さは、日本でも調査対象国全体でも共通の課題となっています。また、施策を実施するために必要な人的・時間的リソースの不足も懸念される要因として挙げられています。現代のビジネスエコシステムにおいて、社内リソースが限られている中堅企業がサステナビリティに向けた取り組みを進めることは、不利な条件下に置かれること自体が多くの企業にとっての悩みの種です。

中堅企業の現在と未来

調査対象国の平均で92%の中堅企業は過去12ヶ月間に1つ以上のサステナビリティ施策を実施しており、そのうち62%は3つ以上の施策を行っています。しかし、日本の中堅企業では施策を行っていない企業の割合が高く、まだ十分な取り組みが見られない状況です。それでも、今後12ヶ月間に少なくとも1つの施策を実施する予定の企業は、調査対象国平均で93%、日本で69%に及び、前向きな動きは見受けられます。

サステナビリティ報告の重要性

実際にサステナビリティ報告を行う予定の企業は40%に満たず、この傾向は世界的に共通して見られます。報告に必要な時間やリソースが大きな負担となっているため、企業はこの部分での施策を後回しにする傾向にあります。しかしながら、サステナビリティ報告は企業の信頼性を確立し、競争上の優位性を生むためには欠かせないものであり、その重要性は理解されつつあるといえるでしょう。

サステナビリティと国際展開の関係

最後に、海外市場での事業展開についても調査が行われ、サステナビリティ要件が国際的なビジネスにおける障害とされていることが浮き彫りになりました。特に、北米の中堅企業の87%がこの見解を示しており、金融業界を含む事業領域ではサステナビリティ要件の影響が顕著です。これらの結果は、持続可能性を単なる障害ではなく、国際市場での差別化の機会と捉えることが重要であることを示しています。

結論

太陽グラントソントンの竹村光広パートナーは、企業が長期的に持続可能な成長を目指すにあたり、サステナビリティへの取り組みが欠かせないことを指摘しています。特に中堅企業が抱えるリソースの不足や、適切な情報開示が求められる中で、サステナビリティに向けた戦略的な方針づくりが急務です。今後もこの分野での状況は変化し続けるでしょう。特に日本では、サステナビリティ情報開示の義務化が進めば、中堅企業の取り組みがさらに加速するものと期待されます。