WSi2の熱電変換
2024-11-26 10:25:34

次世代センサ技術の進展!WSi2の横型熱電変換の実証

次世代センサ技術の進展



最近、東京理科大学と埼玉大学の研究チームが金属材料WSi2を用いた横型熱電変換の実証に成功しました。この成果は、温度や熱流を精密に計測できるセンサ技術の革新を促進するものと期待されています。

横型熱電変換の魅力



横型熱電変換技術は、温度差に対して直交する方向に電位差を生じさせる現象です。従来の縦型熱電素子と比較して、構造の簡素化や熱損失の低減を図ることが可能となり、より効率的なエネルギー変換が期待されます。これまでこの特性を持つ物質は限られており、研究グループは新たな材料の開発に取り組んでいます。

WSi2の特性と実証



研究者たちはWSi2単結晶を作製し、特定の方向に温度差を加えることで横型熱電変換を実証しました。その結果、室温で得られた熱電性能は6 μV/Kに達し、既存のトポロジカル磁性体に匹敵する性能であることが明らかになりました。この成果は、WSi2が将来的な熱電変換材料として有望であることを示しています。

研究の詳細



研究チームはWSi2の光学的および電気的特性を詳細に計測し、ゼーベック係数や電気抵抗率、熱伝導率といった基本特性を明らかにしました。特に、WSi2は異なる結晶軸の向きによってゼーベック係数の極性が変わることが知られており、これが新しい熱電変換の可能性を開く鍵となります。

さらに、第一原理計算を用いて電子の振る舞いを分析した結果、WSi2が一次元の電子と二次元の正孔のフェルミ面を持ち合わせていることが分かりました。これが材料の独特な熱電特性に寄与していると言えるでしょう。

今後の展望



この研究は、次世代センサの設計に関する新たな知見を提供するだけでなく、横型熱電変換材料の探索の加速にもつながると考えられます。研究を主導した東京理科大学の大隅翔也大学院生は、「この研究を通じて、WSi2が新しいセンサ技術の開発や新規材料の発見に寄与することを期待しています」とのコメントを寄せています。

研究の応用可能性



今後、横型熱電変換技術が実用化されれば、さまざまな分野での応用が期待できます。特に、エネルギー効率の向上に寄与することで、廃熱の再利用や新規エネルギー源の確保に貢献できるでしょう。環境負荷を低減するための新たな取り組みとして注目されています。

研究に関する情報



この研究は2024年11月13日に国際学術誌「PRX Energy」に掲載され、WSi2の熱電変換に関する新たな理解を深める上で重要な成果となりました。今後の研究によって、この技術の商業化やさらなる発展が期待されます。


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会社情報

会社名
学校法人東京理科大学
住所
東京都新宿区神楽坂1-3
電話番号
03-3260-4271

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