自動最適化の成功
2022-06-27 17:40:01
再生医療用細胞製造の自動最適化に成功した研究成果
再生医療用細胞製造プロトコルの革新
近年、再生医療分野ではiPS細胞から網膜色素上皮(RPE)細胞への分化誘導の効率向上が重要なテーマとなっています。特に、臨床グレードの細胞を安定的に大量に製造することは、現在の手技依存の技術から脱却する必要があると言えるでしょう。
共同研究の取り組み
この度発表された研究は、理化学研究所とエピストラ株式会社が共同で行ったもので、再生医療の最前線における細胞製造技術の飛躍的な向上を目的としています。具体的には、分化誘導プロセスを最適化するために、AIとロボットを駆使した実験が行われました。これにより、専門家の手技に依存することなく、ロボットとAIのみで高品質の細胞が得られる条件を見出すことに成功しました。
実験の概要
研究チームは、高精度な生命科学実験が可能な実験ロボット「まほろ」とAIソフトウェア「Epistra Accelerate」を用いて、iPS細胞からRPE細胞への分化誘導プロトコルの自動最適化を実施しました。具体的な手法としては、理研が保有する細胞培養プロトコルを基に、7つのパラメータを選定し、計48条件の実験を40日間にわたり実施。この結果、実験終了時には、RPE細胞の収率が91%という驚異的な結果が得られました。
自律実験の実現
この成果により、実験ロボットとAIのシステムが連携することで、細胞培養における自律実験が可能であることが証明されました。これにより、専門家の手技に頼ることなく、高効率の細胞製造条件を自ら見出すことができます。この研究成果は、再生医療の発展に寄与するだけでなく、技術移転の壁を取り壊し、先端技術を広く普及させる可能性を秘めています。
技術背景と意義
自動実験最適化システム「Epistra Accelerate」は、ライフサイエンスの研究における試行錯誤を軽減し、効率的なプロトコル探索を実現します。このシステムは、ベイズ最適化技術を基にした独自アルゴリズムを採用しており、多様な課題に対処することができます。これにより、さまざまな分野での導入が進んでおり、バイオ素材や製薬業界などでの利用が期待されています。
この研究が持つ意義は多岐にわたります。再生医療の分野で真に効果的な細胞製造プロセスを確立することは、患者に対する治療も大きく変える可能性があります。
結論
今回の論文は、再生医療の発展を期待させるものであり、今後の研究開発がどのように進化していくか注目に値します。この成果は、科学研究だけでなく産業界にも影響を与えることになるでしょう。
会社情報
- 会社名
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エピストラ株式会社
- 住所
- 東京都港区浜松町2-2-15
- 電話番号
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