超伝導加速器の革新
2019-10-18 14:00:52

医療用放射性イメージング技術、超伝導加速器で新展開

医療用放射性イメージング技術、超伝導加速器で新展開



日本における放射性医薬品の製造分野において、超伝導加速器を用いた新しい挑戦が始まりました。高エネルギー加速器研究機構(KEK)が開発したこの技術は、医療用ラジオアイソトープ(RI)の一種であるモリブデン-99の生成を国内で初めて成功させ、医療の最前線に立つ期待が高まっています。これにより、現在は100%を海外から依存しているモリブデン-99の安定供給が可能になるとされています。

超伝導加速器の利点



この技術の最大の特徴は、ウラニウムを使用せずにモリブデン-99を生成できることです。放射性物質の使用に関する規制が厳しい中で、この方法はプルトニウムの生成を伴わず、より安全に医療用RIを生産することが可能です。具体的には、天然モリブデンに約14MeVのガンマ線を照射することで、巨大共鳴反応によりモリブデン-99に変換されます。このモリブデン-99は、核医学の分野で幅広く利用され、約80%が医療用RIとして用いられています。

国内製造のメリット



現在、モリブデン-99は海外の原子炉で製造されており、その供給は海外の在庫や設備の点検、故障による影響を受けることが多く、安定供給が課題となっています。しかし、超伝導加速器を用いたこの新しいシステムが確立されれば、国内での安定供給が期待され、医療現場での不安を解消できるようになります。ユーザーにとっては、より安心して医療を受ける環境が整うことでしょう。

実験の進行状況



KEKでは、2018年8月からRI製造ビームラインの構築を進め、2019年6月においては約20MeV、10μAの電子線を用いて天然のモリブデンに照射し、RI製造実験を実施しました。この実験では、モリブデン-99の生成効率についてのデータが得られ、さらなる安定供給が可能であることが確認されつつあります。今後、10月には天然モリブデンを化学的に溶解し、テクネチウム-99mを抽出する試験が予定されています。その結果によって、より効率的なRI製造の実現が期待されます。

結論



超伝導加速器を用いたモリブデン-99の国内製造は、日本の医療分野にとって大きな意味を持つ進展です。この技術の導入により、医療用放射性物質の供給が安定し、患者に対するサービスの向上が期待されます。未来の医療のために、この革新技術がどのように発展していくのか、注目が集まります。

会社情報

会社名
株式会社アクセルレーター
住所
東京都渋谷区神宮前三丁目7番4号パークプレース神宮前
電話番号
050-1745-1278

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