教育現場におけるICT活用と生徒の非認知能力:学校におけるICT利用が生徒の成長に与える影響
近年、学校教育への情報通信技術(ICT)導入が加速しており、その影響について多くの議論が行われています。内閣府経済社会総合研究所の宗像扶早子研究官と内海友子客員研究員(創価大学国際教養学部准教授)は、児童生徒のパネルデータと学校におけるICT導入・利用に関する行政データを用いて、学校におけるICT利用増加が生徒の非認知能力に与える影響を分析しました。
ICT利用が生徒の非認知能力に及ぼす影響
研究では、教室におけるICT導入・利用が生徒の「勉学に対する自己効力感」と「やり抜く力」に関連する可能性を明らかにしました。しかし、その効果は児童生徒の人口統計学的・社会経済学的特性によって異なることが判明しました。
ICT利用の最適化に向けた課題
本研究は、ICT利用が生徒の自己発達に重要な役割を果たす一方で、その効果は一様ではないことを示唆しています。そのため、ICT利用を最適化し、すべての生徒がその恩恵を受けられるようにするためには、以下のような課題に対処していく必要があります。
生徒の特性に応じたICT利用方法の開発: 個々の生徒の能力や学習スタイルに合わせたICT活用方法を開発し、効果的な学習機会を提供する必要があります。
教員のICTスキル向上: 教員がICTを効果的に活用できるよう、専門的な研修やサポート体制を強化する必要があります。
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ICT利用の倫理的な側面への配慮: ICT利用におけるプライバシー保護や情報セキュリティなど、倫理的な側面への配慮を怠ることなく、安全な学習環境を提供する必要があります。
今後の展望
本研究は、学校におけるICT利用の増加が生徒の非認知能力に与える影響について、重要な知見を提供しています。今後、ICT利用の最適化に向けて、更なる研究と取り組みが求められます。
研究論文の詳細
論文名: ICT Use in Schools and Students’ Non-Cognitive Skills
著者: 宗像 扶早子(内閣府経済社会総合研究所研究官)、内海 友子(内閣府経済社会総合研究所客員研究員、創価大学国際教養学部准教授)
掲載: ESRI Discussion Paper No.394
発行: 2024年7月
全文ダウンロード:
https://www.esri.go.jp/jp/publication/discussion-paper/2024/ (内閣府経済社会総合研究所ウェブサイト)