広島市で進む家庭系廃食油のリサイクルとSAF導入の新プロジェクト

廃食油のリサイクルで環境問題に挑む広島市の取り組み

広島市では、環境問題に対処するため、家庭系廃食油の回収とリサイクルに新たな動きが見られます。また、この取り組みを通じて、持続可能な航空燃料（SAF）の供給を目指す企業が集まり、地域の未来に貢献しようとしています。

廃食油回収リサイクル事業の概要

このプロジェクトは、株式会社フレスタ、国分西日本株式会社、植田油脂株式会社、ENEOES株式会社の4社が共同で推進しています。具体的には、広島市内のフレスタの6店舗に設置された回収ボックスに、家庭で使用された廃食油を集めるというものです。回収された廃食油は、国分西日本の物流網を通じて効率的に集約され、地域内の倉庫に保管されます。その後、植田油脂がこれを引取り、最終的にはENEOESがSAFを製造するための原料として利用します。

この協力体制により、廃食油のリサイクル率向上が期待されるだけでなく、持続可能なエネルギーを生み出す新たなサプライチェーンが構築されることになります。

SAF（持続可能な航空燃料）とは

SAFは、持続可能な航空燃料の略で、一般的なジェット燃料が原油から生成されるのに対し、廃食油やサトウキビ、家庭ごみ、廃プラスチックなどを用いて生産されます。これにより、従来の燃料に比べて約60〜80%のCO2削減が可能とされています。最近では、2020年以降、国際的に航空業界からのCO2排出増加を防ぎつつ、2050年までに炭素排出をネットゼロにする目標が掲げられています。

日本国内でも、2030年に向けてのSAF使用量の導入目標が設定されており、今後の発展が期待されています。

廃食油の回収からSAF生産までの流れ

国内では、年間約50万トンの廃食油が排出されています。このうち、飲食店や家庭から排出される廃食油については、リサイクルと廃棄がその後の販売に影響しています。

飲食業界からの廃食油は飼料用途などにリサイクルされることがありますが、依然として一部は廃棄され、輸出されることも少なくありません。これに対して、国内ではこれらの廃食油を活用したSAFの生産が注目されており、様々な取り組みが進められています。

地元政府の支援と今後の展望

広島市も、この廃食油回収の取り組みを積極的に支援しており、市の公式ウェブサイトでの広報活動を通じて地域住民に呼びかけています。この取り組みは、地域全体の環境意識を高めるだけでなく、持続可能な社会への貢献にも繋がると期待されています。

今後、SAFの製造が本格化すれば、広島市は環境に優しい地域社会のモデルケースとなることができるかもしれません。この取り組みにより、家庭系廃食油の利用が促進されることは、私たちの未来にも大きな影響を与えるでしょう。

このように、廃食油の回収とリサイクル、さらにはSAFの導入促進に向けた取り組みは、地域の環境を守りながら新しいエネルギーの供給を目指す重要なステップとなります。