深刻化する尿漏れ問題
近年、パーキンソン病患者の9名に1名が排泄に関する問題を抱えていると言われています。日本国内で約29万人が治療を受けているパーキンソン病は、神経が変性することによって発症する疾患で、手足の震えや動作の困難さに加え、排尿障害といった非運動症状が現れます。特に、自律神経に関連する膀胱機能の障害は、患者の40〜70%に見られ、生活の質(QOL)に大きな影響を及ぼしています。
私たちNPO法人コントロールPDは、パーキンソン病をサポートする団体として、多くの患者様やご家族からの相談を受けています。特に尿漏れに関する悩みが根強く、人に相談しづらいと感じる方が多いのが現状です。
尿漏れの背景と社会的影響
運動機能の低下により、トイレまでの移動が困難になることや、ズボンを脱ぐのに時間がかかってしまうことが、尿漏れの直接的な原因となります。そのため、以下のような状況が発生することが多いのです。
- - 外出先でトイレが心配で、友達との食事を控える
- - 旅行に行くことができず、思い出が減ってしまう
患者さんとその家族にとって、悩みが深刻化する一方で、社会とのつながりを失ってしまう要因にもなりかねません。
生理用品と尿ケア用品の違い
尿漏れの対処法として多くの人が「量が少ないから」と言って生理用品を使用する傾向があります。しかし、これは正しいアプローチとは言えません。実際に、ユニ・チャーム株式会社に協力を仰ぎ、吸水実験を行ったところ、尿専用のケア用品と生理用品では吸収性能に大きな差があることがわかりました。
生理用品は、尿の逆戻りや匂いの問題において、不適切な選択であるものでした。尿に関連する独自の設計がなされていないため、特にパーキンソン病患者は匂いを感知しづらく、自信を持って対処することが困難になることも考えられます。
適切な製品の選び方
製品選びには苦労が伴いますが、その基準を知ることが重要です。オムツなどには「○○回分吸収」と記載されることが多いですが、この具体的な量は高齢者の尿量を基にしているため、個人差がある点に注意が必要です。
自分自身や家族の尿量を理解し、それに見合った製品を選ぶことが、日常生活の質を向上させるために重要です。
横漏れ対策と革新的なソリューション
パーキンソン病患者が直面する横漏れの悩みに関しても、新たな対策が講じられています。寝ている時に横向きになることが多い患者が多く、特に夜間の漏れは大きなストレスとなります。そんな中で、ユニ・チャームでは横漏れ専用の寝具など、革新的な商品が開発されています。こういった新しい商品が、患者さんにどれだけの助けになるか期待が寄せられています。
性別による製品の工夫
男性用と女性用に分けられた製品デザインにも変更が施されています。男性は特に羞恥心が強く、排泄ケア用品を手に取りづらい傾向があるため、色合いやデザインに工夫が施されています。多くの方に使いやすさを考えた商品展開が進められています。
まとめ
尿漏れは年齢や性別を問わず、多くの方の困りごとです。匂いの問題も含め、なかなか本人が気づかない場合も多く、周囲の方々が配慮をしつつ、悩みを共有する機会が必要です。
私たちNPO法人コントロールPDは、尿漏れの問題に対する理解を深め、解決策を一緒に考える場を提供していきたいと考えています。適切な知識をもって、これまで諦めていた問題に立ち向かうことができるように、活動を続けてまいります。