スタートアップによる新たな事業承継手法「企業価値担保権」とは
AI駆動型のソフトウェア事業承継に特化した株式会社マイクロニティ(東京都渋谷区、代表取締役 山﨑 祐一郎)がこのほど、静岡銀行(静岡市、頭取 八木 稔)の協力を得て、「企業価値担保権」を活用した国内初のM&A資金調達を実現しました。2026年5月に創設されたこの制度を利用して、同社は5億円を調達し、オンライン試験プラットフォームを運営する株式会社IBT総合研究所(以下「IBT総研」)を完全に買収しました。この事例は、スタートアップが承継対象の企業の事業価値を直接担保としてM&A資金を調達するという新しい形の成功例として注目されています。
企業価値担保権とは?
「企業価値担保権」は2026年5月に施行された「事業性融資の推進等に関する法律」に基づき、企業の実態や将来のキャッシュフローを評価し、融資を促進するための新たな仕組みです。これにより、不動産担保や経営者の保証に依存せず、事業自体を担保とすることが可能になります。具体的には、企業に関連する資産全体を一括して担保設定することができるため、従来の個々の資産に対する担保設定と比べて事務処理や費用の面で大きな負担軽減が期待されています。
静岡銀行との連携
静岡銀行は、マイクロニティとIBT総研が持つ無形資産(顧客基盤、技術力、未来のキャッシュフローなど)を評価し、企業価値担保権の施行を実現しました。これにより、スタートアップが主体となり事業価値を担保として資金を調達することが可能になり、国内初の試みとなったのです。
マイクロニティは以前から、対象企業のキャッシュフローの評価を用いたLBO(レバレッジド・バイアウト)ファイナンスを採用しており、今回の取組みは過剰保全といったLBOの懸念を回避し、よりシンプルかつ効果的な資金調達手段を提供するものとしています。これにより、IBT総研の持つ技術や顧客からの信頼を引き継ぎ、新たなプロダクトへと発展させることが期待されます。
事業承継の重要性
近年、多くの中小企業が事業承継の課題に直面しています。スタートアップによる事業承継は、その成長を加速させるための重要な手段となりつつあります。マイクロニティは、今回調達した資金を活用しIBT総研の事業への統合を完了させましたが、今後も事業承継を通じて持続的な成長を続ける意向です。
事業承継プラットフォームを通じたマイクロニティの挑戦は、全国の中小企業の発展や雇用の維持にも寄与することを目指しています。静岡銀行からの支援を受けて、今後もこの新しい方法を広く普及させ、さらなる資金調達の選択肢として活用していく方針を示しています。
マイクロニティは、この達成をもって会社を次のステージへ進めるだけでなく、AI技術の進化を企業に実装することで、ソフトウェア産業のさらなる進化にも貢献していきます。
まとめ
マイクロニティによる企業価値担保権の利用は、今後のスタートアップの資金調達に新たな道を開くものです。今後この手法が他の企業にも広まり、より多くの事業承継が円滑に進むことが期待されます。静岡銀行との連携がもたらしたこの成功事例は、新しいファイナンス手段としての価値を証明しました。