デジタルガレージが実現する小売業務の新たな形
株式会社デジタルガレージ(以下DG)は、業務運用の効率を大幅に改善するためにSaaS「パンゲアデリバリー」を小売業界に向けて本格的に提供開始しました。このサービスは、国内初のクイックコマース対応のリテールテックサービスとして位置付けられています。
背景
最近の消費者の購買行動が多様化する中、ネットスーパー、ドライブスルー、BOPIS(オンライン購入後、店舗での受け取り)など、様々な販売チャネルが拡大しています。特にクイックコマース市場は、年平均成長率25.1%で成長を続けており、2028年には約2550億ドルの規模に達すると予測されています。このような状況下で、多くの小売事業者は迅速な配達サービスの導入に取り組んでいるものの、異なるオペレーションや設備による業務負担が増大しています。
このような課題を解決するために、DGは「パンゲアデリバリー」というサービスを開発し、複数のオンライン注文を一括で管理できるシステムを提供してきました。
パンゲアデリバリーの進化
「パンゲアデリバリー」はこれまでのオンライン注文管理の機能を進化させ、特に小売事業者に必要なSKU(在庫管理単位)への対応や、データ処理能力の向上が実現されています。また、DGはサッポロドラッグストアー(以下サツドラ)との提携を通じて、104店舗でのパイロット導入が決定しました。
このサービスは、株式会社ROMSが提供するピッキングシステムと連携することで、店舗内の業務を効率化する包括的なソリューションを提供します。具体的には、オンラインでの注文と店舗内のピッキングを一元的に管理できる体制を作り出すことを目指しています。
業務の課題とその解決策
プロジェクトの実証実験を通じて浮かび上がった業務の課題と、パンゲアデリバリーが提供する解決策は以下の通りです。
1.
複数オンラインサービスの管理
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課題: 各サービスごとに異なる管理端末の使用が必要で、運用が複雑。
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解決策: 一台のタブレットで全てのサービスを管理し、オペレーションを効率化。
2.
ピッキング業務の効率化
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課題: 商品のパッケージや陳列が類似しているため、誤ピッキングが発生しやすい。
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解決策: 最適なピッキングルートを表示し、バーコードスキャンによりミスを減少。
3.
商品欠品情報の自動更新
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課題: 商品が店舗で売れると、オンラインサービスの情報更新が手動で煩雑。
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解決策: ピッキング時に即時欠品を把握し、オンライン商品リストを自動的に更新。
今後の展望
DGは、「パンゲアデリバリー」をさらに進化させ、ピッキングナビゲーション、POSとの連携、AIを活用した需要予測などを通じて、飲食・小売業者の業務効率の向上を図る予定です。また、小売事業者が自社ブランドでオンライン販売ができる新規サービスの開発にも取り組んでいます。
コメント
デジタルガレージの執行役員である冨永大輔氏は、労働力不足やコストの上昇といった業界の課題に対して相談を行い、サツドラとの共同開発の成果が期待できると述べています。
また、サツドラの執行役員である大井拓人氏も、業務効率の改善が顧客体験を向上させるために欠かせないと強調しています。今後「パンゲアデリバリー」がさらに多くの小売業者に採用されることで、業界内の生産性向上に寄与することが期待されます。