入院と家族の生活
2021-10-26 16:26:17
子どもの入院に伴う家族の生活実態を探る調査結果とその意義
子どもが入院を余儀なくされると、その影響は病児本人だけでなく、家族全体に及びます。特に母親は、子どもの療養生活を支えるために病院に泊まり込むことが多く、生活の質や経済面にも深刻な影響が生じることが過去の調査で確認されています。そこで、NPO法人キープ・ママ・スマイリングが実施した調査が注目されています。
この調査は、2019年12月から2020年2月にかけて、全国の子どもが入院した経験を持つ家族に向けてインターネットを活用して実施されました。合計1,054名から有効な回答が得られ、その結果は驚くべきものでした。母親が全体の93.9%を占めており、未就学児が69%を占めるという状況が浮かび上がりました。また、入院中の家族が抱える課題には、食事や睡眠の質が影響を受け、体調不良を訴える人も多いという結果が示されました。
特に、付き添い中の食事について調査したところ、8割以上の人が食事のバランスが悪いと回答しており、9割以上が睡眠不足を感じていることが明らかになりました。経済面でも、44.6%が就業しており、入院に伴う様々な影響から70%が退職や休業、また時短勤務を余儀なくされているという事実も明らかになりました。これによって、入院が家族の生活全般にわたる負担を与え、長期的な経済的損失を引き起こす可能性が高いことが示唆されます。
今回の調査結果は、子どもが入院生活を送る際、特に母親に対するサポートが必要であることを強く訴えています。実際、調査では多くの母親が入院中の子どもと同様に長期間付き添いを続けており、その間に家庭での生活が圧迫され、多くの精神的および身体的負担がかかることが強調されています。入院中の家族にとって安定した生活環境を提供することが重要であり、そのためには制度の再検討が必要です。
また、子どもの療養を支えるための家族向けの施設の充実も求められています。特に、遠方から子どもを入院させなければならない家庭にとって、宿泊施設の整備や、長期的な療養への対応なども重要な要素です。今後は、家族全体が安心して療養生活に専念できるような仕組みづくりが必要です。
さらに、調査結果を受け、今後の研究では男性の付き添いについての施設側の方針や、家族全体に対するサポート体制の強化が求められるでしょう。今回の調査結果をもとに、より多くの家庭が抱える課題に光を当て、解決策を見出すための努力が必要です。
この調査は日本小児看護学会でも高く評価され、「ベストいいね!賞」を受賞しました。今後も子どもと家族向けのQOLの向上を目指し、さまざまな取り組みが行われることが期待されています。
弊社のNPO法人キープ・ママ・スマイリングでは、病気の子どもを持つ家族に向けた支援活動を続けており、生活支援物資を無償で提供する取り組みや、地域との連携を強化しながら、より多くの子どもとその家族が安心して療養生活ができる環境を整えていきたいと考えています。子どもとその家族が一緒にいられる空間を作ることは、単なる病院の役割を超えた大切な社会的意義を持たせることとなるでしょう。
会社情報
- 会社名
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NPO法人キープ・ママ・スマイリング
- 住所
- 東京都中央区銀座4-13-19銀林ビル4F
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03-6822-5371