住友ゴム工業が新しいタイヤ騒音予測手法を発表
住友ゴム工業株式会社(社長:山本悟)は、タイヤの騒音をより精度高く予測するための新たなシミュレーション手法を開発しました。この技術により、リアルな路面状況におけるタイヤ騒音の予測精度が大幅に向上し、特定のタイヤでは実測値との差が1%にまで縮小されました。これに伴い、タイヤの静粛性能向上への期待が高まっています。
静粛性能の向上に寄与する技術
新しい手法の中心となるのは、路面の凹凸がタイヤにどのように影響を与えるかを考慮する点です。従来の手法では捉えきれなかった vibration(振動)や音の吸収特性をシミュレーションに加えることで、実際のタイヤが発生させるパターンノイズを正確に予測することが可能になりました。この成果は、2024年の自動車技術会秋季講演会で「路面性状を考慮したタイヤパターンノイズ予測について」として発表されました。
計算時間の短縮
さらに、この新手法は計算時間の短縮にも成功しています。従来約1ヶ月を要していた計算が、わずか1週間に短縮されました。これによりタイヤ開発にかかる工数の削減が見込まれ、試作部品の必要性も減少するため、省資源化や納期の短縮にも大きく寄与します。
環境への配慮
自動車の騒音規制が強化され、特に2024年以降は国際基準(UN R51-03 Phase3)が施行されることから、騒音のさらなる低減が求められています。静音性を重視したタイヤ開発は、環境にも優しく、特にEV(電気自動車)が普及する中でその重要性が高まっています。エンジン音がないため、タイヤからの騒音が相対的に増加するためです。
住友ゴムではすでに、タイヤ内部の「空洞共鳴音」を低減する独自技術「サイレントコア」の導入や、タイヤと車両の相互作用による音のシミュレーション技術を開発してきた実績があります。これにより、走行する車両の周辺環境を考慮したタイヤ形状の開発にも力を入れています。
持続可能な未来への取り組み
また、住友ゴム工業は2023年に「TOWANOWA(トワノワ)」という独自のサーキュラーエコノミー構想を発表しました。この構想は、バリューチェーンの5つのプロセスと、その間で収集したビッグデータを融合させて新しい価値を提供することを目指しています。これにより、持続可能な社会の構築と2050年のカーボンニュートラルの実現を見据えています。
この新しいタイヤ騒音予測手法の導入により、住友ゴム工業は今後も高機能タイヤの開発を加速し、ユーザーニーズに迅速に応えるとともに、地球環境に優しい取り組みを進めていく方針です。