国内最大級HIPHOPフェス「THE HOPE 2024」が幕を閉じ、4万人を熱狂の渦に巻き込んだ!
2024年9月21日、22日の2日間、お台場にて開催された国内最大級のHIPHOPフェス「THE HOPE 2024」。59組ものライブアーティストと29組のDJという豪華なラインナップで、約4万人のオーディエンスを熱狂の渦に巻き込みました。
会場全体を彩るヒップホップカルチャー
THE HOPEの特徴は、DJ陣の充実したサポートだけではありません。会場全体にヒップホップカルチャーが息づいているのが印象的でした。全長約50メートルのグラフィティウォールには、ASIAN CAN CONTROLERZ(TOMI-E & 鬼頭)とANARCHYによるペイントが施され、KANEによる車へのペイント、さらに漫画『スーパースターを唄って。』の作者・薄場圭によるアーティストビジュアル看板など、至るところからヒップホップの香りが漂っていました。
フードエリアも充実しており、「AKLOのTacos by GEORGE」や「PERSIA ROLL UP」など、20種類以上のフードが来場者の食欲を満たしました。さらに、グッズ販売ではIO率いるブランドRAYDBACK、デザイナー長嶺信太郎のel conductorH、ストリートブランドTRAVSなどとのコラボグッズが多数販売され、アーティストとブランドの融合が感じられました。ラッパーの起業家としての側面も垣間見れる、ビジネスへの貪欲さも感じさせる、多角的な展開でした。
主催者は、港区や地元商業施設との連携による、一過性でないカルチャー発信を目指しているとのことで、今回のイベントはその構想実現への大きな一歩と言えるでしょう。お台場という人工的な空間において、ヒップホップ文化を根付かせようという試みは、都市と音楽の関係性において非常に興味深く、今後の展開に期待が高まります。また、ABEMAでの番組放送など、マスメディアを活用した情報発信にも積極的で、多角的なアプローチでヒップホップカルチャーの醸成に力を入れている様子が見て取れました。多くの協賛パートナーのサポートも、その姿勢を裏付けています。
若年層への教育とエンターテインメントの融合
今年の来場者は20代が7割以上を占め、若い世代に支持されていることがわかります。男女比はほぼ半数ずつで、女性の割合が増加傾向にあるようです。地域別では南関東からの来場者が6割を占めていました。
現状、USヒップホップの浸透が進んでいない中で、日本の若年層にヒップホップ文化を理解させ、ライブの楽しみ方を伝える必要がありました。そのため、Young CocoやゆるふわギャングのNENEといったアーティストは、観客にモッシュピットの作り方や、楽曲に合った楽しみ方を丁寧に伝え、観客とのコミュニケーションを積極的に図っていました。DJ陣も、国内外の楽曲をバランスよく繋ぎ、USラップの魅力を伝える努力をしていました。特にFUJI TRILL(OVER KILL)のステージは、キラーチューンとUSラップを絶妙に融合させ、会場を最高潮に盛り上げました。
屋外での開催は、開放感あふれる雰囲気を作り出す一方、強い日差しや高温で観客の体力を奪うという課題もありました。アーティスト側も、疲労した観客を盛り上げるため、必死に訴えかけていました。アンセムと教育的な楽曲のバランス、気候への対応など、今後の課題も見えてきました。
Unity&Peace:ヒップホップシーンの結束と平和なムード
AK-69とDJ RYOWのステージで披露された「My G’s feat. SEEDA」や「知らざあ言って聞かせやShow(Remix)feat. ZORN」は、ヒップホップの歴史への言及と、日本のヒップホップシーンの未来への強い意志を感じさせるパフォーマンスでした。
近年、ヒップホップシーンでは大きなビーフ(確執)がありましたが、BAD HOPや舐達麻を巻き込んだビーフの収束、そして千葉雄喜の「チーム友達」の大ヒットは、シーン全体のUnityとPeaceを象徴する出来事と言えるでしょう。今年のTHE HOPEでは、多くのアーティストが友人たちをステージに呼び、友情を強調するパフォーマンスを繰り広げ、会場全体にピースフルなムードが漂っていました。ジャパニーズマゲニーズの謝罪なども、そのムードを後押ししたと言えるでしょう。
R-指定(Creepy Nuts)のアカペラでの観客への挑戦、LEX&LANAの感動的な共演、AwichのステージへのXGのメンバーのサプライズ出演など、見どころは満載でした。最後に¥ellow Bucksが東海人脈を巻き込んだパワフルなパフォーマンスで幕を閉じました。
まとめ
激変するヒップホップシーンにおいて、THE HOPEは、現在のシーンを鮮やかに映し出し、関係者たちが大切なものを振り返る場としても機能しているように感じました。変わらないものと変わりゆくもの、その両方を抱えながら流動的に変化していく、それがヒップホップの力強さだと改めて感じさせられる2日間でした。