『アルムナイ』が企業と退職者の新たな関係を築く理由とは

退職後も続く新たなつながり：アルムナイの価値

近年、企業における人材管理の考え方が大きく変わりつつあります。従来は「退職」という言葉にはネガティブな印象が伴いがちでしたが、今ではその視点に変革をもたらす「アルムナイ」という概念が注目を集めています。本書『アルムナイ雇用を超えたつながりが生み出す新たな価値』では、退職者をただの「裏切り者」と捉えるのではなく、貴重な人的資本と位置づけが強調されています。

アルムナイとは何か？

「アルムナイ」という言葉は、元社員を指し、企業の枠を超えた新たなつながりを生み出します。この考え方に賛同する経済界の関係者は少なくなく、企業と退職者の関係を単なる雇用契約に留めるのではなく、互いに利益を享受できる関係性を築くことが奨励されています。実際に、アルムナイとの関係を維持することで、イノベーションの促進や新たな顧客基盤の獲得を期待できるのです。

アルムナイ経済圏の登場

退職者との関係をしっかりと維持することで生まれる「アルムナイ経済圏」という概念は、調査によると年間約1兆1,500億円にも達するとされています。これは、企業とアルムナイが協力し合うことで生まれる経済的な恩恵を数字で示したものです。退職による損失ではなく、双方にとってウィンウィンの関係を築ける可能性が広がっています。

アルムナイ・リレーションシップとは

本書では、アルムナイ人材との関係性を築く「アルムナイ・リレーションシップ」の具体的方法について解説しています。具体的には、良好な関係を維持するためのステップやポイントを、実務において活用できる事例に基づいて紹介しています。

このような関係を築くことで、企業全体の競争力を高めるとともに、個々のキャリアにも良い影響を及ぼすことができるといえるでしょう。

著者の紹介

本書の執筆者である鈴木仁志氏と濱田麻里氏は、アルムナイとの関係構築に関する豊富な経験を持ち、現在は株式会社ハッカズークにてその構築を支援するためのプラットフォームを運営しています。鈴木氏は、様々な業界での経験を活かし、アルムナイとの価値ある関係を築くための方法を提唱しています。また、濱田氏も外資系コンサルティングファームでの経験を背景に、企業の人材戦略を再構築するためのサポートを行っています。