2025年11月の企業倒産状況報告
株式会社帝国データバンクの最新データによると、2025年11月の企業倒産件数は796件で、前年同月の834件から4.6%の減少を示しました。これは6カ月ぶりに前年を下回る結果となりますが、2025年1月から11月までの累計倒産件数は9380件となり、前年同期の9053件を327件上回りました。これに伴い、今年は12年ぶりに年間1万件を超える可能性が高まっています。
負債総額は788億8300万円と前年同月の1522億4400万円から48.2%減少しました。特に負債5000万円未満の小規模倒産が注目される中、近年の市場状況は厳しさを増しています。
業界動向
業種別では、7業種中3業種が前年を下回る結果となり、小売業が175件で最多となりました。これは約4年ぶりのことです。その一方で、サービス業は172件に減少し、22.2%も前年を下回りました。
地域別では、近畿地方で15.1%の減少が見られ、特に大阪は大きな減少幅を記録しました。それとは対照的に、関東地域では1.1%の増加を示し、傾向が分かれる結果となりました。
倒産の原因
倒産の主な原因としては、不況型倒産が全体の83.7%を占めており、販売不振が658件を記録しました。以降、業界不振や売掛金回収難が続きます。弊社の調査によれば、「ゼロゼロ(コロナ)融資後倒産」が43件発生しており、これも前年を下回りました。
特に目立つ業界
最近、倒産が目立つ業界としては、建設業と飲食業があります。飲食業界の倒産は11月だけで68件発生し、2024年には初の900件超えの可能性が高まっています。
建設業では中央建設㈱が倒産し、その負債は約53億8100万円に上ります。このような大型の倒産案件は、業界全体の収益性や持続可能性に大きな影響を与えるでしょう。
今後の見通し
今後も、長期的な景気低迷や人手不足、物価高の影響で倒産件数は増加する見通しです。特に、小規模な倒産は今後も高い割合で続くと思われ、これが各業界に与える影響は計り知れません。
これらのデータを踏まえ、企業はより一層の経営改善に取り組む必要があるでしょう。2025年の倒産件数は1万300件前後と予測されており、企業の持続可能性が問われる時代が続くことは間違いありません。