最近、京都大学の楽友会館で一般社団法人産学協働イノベーション人材育成協議会(C-ENGINE)が主催するシンポジウムが開催されました。このイベントでは、「イノベーションは心を豊かにできるか - 日本文化という視点から考える」というテーマのもと、産学が協力して博士人材育成の新しい形を探りました。
シンポジウムは、C-ENGINEの代表理事である京都大学副学長の國府寛司氏による開会の挨拶でスタートしました。ここでは、2014年の設立以来の歩みとして、博士課程の学生向けの研究インターンシップを通じて777件以上のマッチングを達成し、研究力を高めるための活動を行ってきたことが紹介されました。これにより、産学連携による社会貢献を目指した人材育成の重要性が説かれました。
ご来賓として、経済産業省の川上悟史氏や文部科学省の春山浩康氏が登壇し、博士人材が企業の基礎研究段階からの活躍の重要性を強調しました。特に、C-ENGINEが提供する「大学横断・就職目的に限定しない研究インターンシップ」が、博士教育における理想的なモデルとして高く評価されました。
その後、実際に研究インターンシップに参加した博士学生二人が経験を報告しました。京都大学の疋田純也氏は、三菱電機でのインターンシップを通じて得た研究力の重要性を語り、奈良女子大学の竹内陽香氏は、ダイキン工業での数理最適化研究から得た探求心や対話力の重要性を強調しました。両名とも異なる分野に挑戰し、実践を通じてスキルを向上させた体験をシェアしました。
基調講演では、国際日本文化研究センターの井上章一所長が登壇し、「イノベーションと文化の溝」というテーマで文化の違いが新しい発想の源泉であると述べました。生活文化の違いや食文化の交錯を例に挙げ、常識とされることに対して新たな視点を持つことの重要性を訴えました。彼は、文化の境界に立ち、異なる視点を持つことがイノベーションの出発点だと指摘しました。
続いて井上氏と國府氏による座談会では、イノベーションの概念がどのように心を豊かにするかについて話し合われました。井上氏は、専門分野を超えた興味を追求することが創造力を活性化し、そのことが異文化や異分野の接点としての研究インターンシップの意義を示すものだと強調しました。国府氏もC-ENGINEがその文化の越境を促進する場であると述べ、博士学生にとっての視野を広げる機会となっていることを強調しました。
シンポジウムの最後では、C-ENGINEの古藤悟理事が閉会の挨拶を行いました。彼は、技術革新だけでなく文化や地域性を取り入れることの重要性について言及し、デジタル時代における価値の見出し方を産学で引き続き検討していく姿勢を示しました。
C-ENGINEは、博士人材の能力を育むための「研究インターンシップ」を通じて、産学協働による新しいキャリア形成モデルの確立に向けて活動を続けていきます。今後も異分野や異文化の交わりから生まれる創造力を次世代に届ける取り組みを拡充する予定です。