国際先導研究「腎臓を創る」発足の意義
2024年から始まる「腎臓を創る」という国際先導研究が、熊本大学を中心に国内外の研究機関が連携して、移植可能なヒト腎臓オルガノイドの作製を目指すことが発表されました。腎臓は尿を作るという重要な役割を持ちながらも再生しない臓器であり、現在、慢性腎臓病に悩む多くの人々のために治療法の開発が急務とされています。
腎臓の現状と課題
腎臓病の患者は全世界で約10%にのぼり、特に日本では腎不全患者が約35万人存在します。その中でも腎臓移植のドナーが不足しており、移植を希望する患者の86%が腎臓を求めています。しかし、ドナーの数は限られているため、平均14年という長い待機期間が現実のものとなっています。このような状況を受け、研究者たちは新たなソリューションを模索してきました。
腎臓オルガノイドとは?
腎臓オルガノイドは、試験管内で作られるミニチュアの腎臓です。2014年に国内の研究チームが初めてマウスES細胞やヒトiPS細胞を用いて作製することに成功しました。この技術は腎臓病の原因を研究するために役立っていますが、現段階では未熟な状態にあります。今回の国際共同研究では、この技術をさらなる高次な構造と機能を持った腎臓オルガノイドへと進化させることが目標です。
研究のコラボレーション
本プロジェクトでは、熊本大学や理化学研究所、京都大学、東京慈恵会医科大学など、国内外で名だたる研究リーダーが集まり、オールジャパンの体制を整えています。また、ハーバード大学やカリフォルニア工科大学、ドイツのチュービンゲン大学など国際的にも一流の研究機関と連携しています。このような研究者間の強固なネットワークが、次世代腎臓オルガノイドを作るための力となるでしょう。
若手研究者の育成
この研究契約では若手研究者の育成にも重点が置かれています。研究者たちは海外への派遣が促進され、彼ら自身が研究費を管理することが可能になります。また、毎月の国際会議や年次の対面シンポジウムが組まれ、最先端の研究情報が共有される場が設けられます。これにより次世代の研究リーダーが育成される期待が高まります。
未来への展望
この国際共同研究は、国際学術的価値の高い成果を生み出し、腎臓移植の新しいアプローチを確立することを目指しています。また、優れた研究者たちを育成し、国際共同の研究基盤を確立することで、腎臓医療の未来を切り開く可能性があります。
今後の進展に注目しつつ、腎臓病に苦しむ多くの人々にとって光明となることを期待しています。詳細な情報は
こちらから確認できます。