北三陸ファクトリーとヤンマーがウニ養殖の革新に挑む

ウニ養殖の未来を切り開く実証事業

北三陸ファクトリーとヤンマーホールディングスが手を組み、持続可能な「ウニの大規模陸上養殖システム」の構築に向けた実証事業を開始します。このプロジェクトのスタートが2025年4月1日となり、農林水産省の支援を受けて、国内外に展開可能な短期陸上養殖技術の確立を目指します。

大規模陸上養殖場の建設

岩手県洋野町に新たに建設される大規模陸上養殖場では、ウニの短期実入改善システム「UNI-VERSE systems®」が実践される予定です。北三陸ファクトリーは、海の砂漠化の一因とされる「磯焼け」を解決すべく、駆除された実入りの悪いウニを活用し、短期間での飼育によってその品質を大幅に向上させる技術を開発してきました。この取り組みにより、本来流通しにくい秋冬季節でもウニの出荷が可能になります。

高品質なウニの養殖技術

この「UNI-VERSE systems®」は、北海道大学大学院水産科学研究院との共同研究によって生まれたもので、ウニ用の特別な飼料「はぐくむたね®」や、独自の生簀・水槽の構造が採用されています。これにより、ウニは天然ものと変わらない美味しさを保ちながら成長します。

ヤンマーホールディングスとの連携

ヤンマーホールディングスも、持続可能な漁業の実現に向けた養殖関連技術の開発に力を入れています。2025年からは、北三陸ファクトリーと協力し、ウニの養殖を効率化する技術の開発を開始します。同社が持つ流体解析や水槽内自動洗浄技術を活用することで、より良い飼育環境の制御が行われ、高品質のウニを育てるための基盤が整えられるでしょう。

環境問題への対応

実は、日本産ウニへの世界的需要が高まる中、全国的な「磯焼け」により高品質なウニが減少しています。北三陸ファクトリーは、研究機関と協力しながら「ウニ再生養殖技術」の普及に努め、国内外での実績を積むことで、この状況を打開しようとしています。

国際市場への展開

「UNI-VERSE systems®」によって育ったウニは、EUやアメリカ、中東など国際的に販売される予定です。2024年2月には、UAEで開催される中東最大の食品見本市「Gulfood」にも出展予定であり、グローバルな市場での需要を捉える計画です。さらに、2025年にはバルセロナやボストン、ドバイ、バンコクでの主要な水産物の展示会にも参加し、国際的な流通網の確立を目指します。