馬耕古代米酒の誕生と地域文化を育む取り組み

茨城県の中山間地域、旧里美村に位置する「まどか」と合資会社井坂酒造店が協力し、新たに『馬耕古代米酒』を発表します。この酒は、自然環境との調和を目指した取り組みの一環として、馬耕による有機栽培の古代米を使用しています。2025年11月23日、発売が予定されています。

「まどか」は、茨城県常陸太田市折橋町に所在し、地域の人々と共に自然との共生を目指する団体です。彼らの活動は、古代米の栽培だけでなく、馬を用いた農業の復興を意味します。かつては農業現場で当たり前だった馬耕の風景は、時代の変化により減少しましたが、「まどか」はその失われた文化を再生しようと努力しています。

古代米の栽培と馬耕の復活

旧里美村は、かつて農業や馬の飼育が盛んだった地域です。1990年代までは、田畑を馬で耕す姿が一般的でしたが、現代では機械の普及により、その光景は消えつつあります。しかし、まどかは馬との共生を目指し、田んぼの再生に取り組んでいます。

地元の敬老の日のイベントでは、代表自らが馬の調教をし、地域住民に馬耕の魅力を伝える活動を行いました。しかし、身体の不調により馬の飼育が困難になり、悩む日々が続きました。軽やかな機械ではなく、より多くの手間と愛情が必要な生き物である馬との生活は、相当の努力を要します。

それでも、「茨城でも馬と働く里山の生活を取り戻したい」という思いを胸に、『里馬プロジェクトいばらき』と協力。馬耕体験会を通じて、地域の人々と協力しながら文化を継承しています。馬を使った田起こしや生育管理は、手間こそ掛かりますが、地域社会との絆を深める貴重な機会を提供しています。

古代米栽培の手作業

古代米の栽培は、苗代を設けることから始まります。田んぼの片隅に苗代を作り、その後、手植えで田植えを行うなど、すべてが手作業。除草や稲刈りも人の手で行い、最後には天日干しすることで、自然な形で古代米を育て上げます。このような手間をかけることで、地域特有の豊かな風味が醸し出されるのです。

合資会社井坂酒造店の役割

馬耕古代米酒は、旧里美村に現存する江戸末期創業の合資会社井坂酒造店で製造されています。この酒蔵は地域で育まれた酒米を使用することにこだわり、昔ながらの製法で酒を造り続けています。地元の農家との連携を大切にし、地産地消の動きに応じた酒造りを行う姿勢は、地域文化の発展にも寄与しています。

地域文化としての発展

「まどか」は、馬耕古代米酒を通じて、単なる飲料としての価値を超え、地域文化の一部として発展させることを目指しています。多くの人が集まり、馬と人が共働するこのプロジェクトは、単なる農業再生に止まらず、地域全体を巻き込んだ活性化の原動力となるでしょう。共に作り出される豊かな文化は、地域の未来をより明るいものにすることに繋がります。