エーアイが消防庁と連携、音声合成で防災無線の性能向上
株式会社エーアイは、総務省消防庁が主催した「防災行政無線等の屋外スピーカーの音達範囲向上等に関する検討会」に参加し、実証実験に技術協力を行った。これは、災害時における情報伝達手段として防災行政無線を強化するための取り組みの一環である。エーアイは、高品質なAI音声合成エンジンAITalk®を使用し、スピーカーの音達範囲や音質を向上させる試みを通じて、地域の安全を確保するための重要な技術革新を進めている。
検討会の概要と目的
本検討会は、災害情報をより広範に、かつ明瞭に伝えるために、音達範囲や音源の改良を目的として開催された。具体的には、神奈川県松田町で実施された3回の実証実験を通じて、スピーカーの種類や音声の周波数調整が音の聞き取りやすさに与える影響を検証した。
実証実験では、多様な条件下でスピーカーの性能を比較し、住民に重要な情報を効率的に届けるための技術改良が検討された。時に命に関わる情報を正確に届けるために、音声合成技術の重要性が高まっている。
エーアイの技術協力
エーアイが提供したのはAITalkによる音声合成ソフトウェアであり、このエンジンは全国の自治体で50%以上の防災無線に採用されている実績を持つ。実証実験の際、エーアイは男女各一名の話者を提供し、音声の強調処理も行った。
特に「周波数強調」は重要な技術であり、高い周波数帯域で音声を強調することで、スピーカーからの音声伝達をよりクリアにするための工夫がなされた。無声子音の認識を向上させるため、高音域を効果的に利用するこの手法は、スピーカーから離れた場所でも音が明瞭に届くことを目指している。
実証実験の成果
実証実験では、周波数強調を操作卓側で行うことで、音声の聞き取りやすさが向上したことが確認された。特に費用対効果の面からも、操作卓での処理が実用的であるという結果が得られ、多くの自治体にとって有益な情報となった。これは、自治体が災害情報を迅速かつ正確に伝えるための新たな手段として、大いに活用されることが期待されている。
今後の展望
エーアイは、AI音声合成技術を活用し、防災行政無線の研究を進めている。緊急時に聞き取りやすい音声を提供するため、さらなる技術開発が行われ、全国の自治体への導入が進んでいる。今後もエーアイは、地域社会の安全を守る活動を支え、安心して暮らせる環境の実現に寄与することが期待されている。
エーアイの音声合成技術による防災無線の更なる発展に、目が離せない。