新たな分子認識結晶
2026-09-15 13:10:16
芝浦工業大学、分子を選択的に取り込み可能な新結晶を発表
芝浦工業大学、分子選択に優れた新結晶を開発
芝浦工業大学の研究チームが、分子のサイズを超えて選択的に取り込むことができる新たな結晶材料「層間適応結晶」を開発しました。この成果は、環境問題の解決に向けて期待されています。
「層間適応結晶」とは
本プロジェクトは、芝浦工業大学工学部の堀顕子教授を含むチームによって実現されました。層間適応結晶(Interlayer Adaptive Crystal, LAC)は、分子の種類やサイズに応じて、結晶の層間の距離を動的に変化させる構造を持っています。これにより、通常では通過できないサイズの分子も吸着可能となります。
研究の背景と目的
CO2の回収や化学物質の分離は、今日の環境問題に取り組む上で非常に重要です。従来の多孔性材料では、固定された空間に基づいて分子が取り込まれていましたが、細胞構造が変化することによる柔軟な認識システムは、より高い選択性を持つ可能性があります。
研究の手法
研究チームは、亜鉛イオンと二種類の有機分子から構成された二次元の亜鉛錯体シートを合成しました。このシートはフッ素化された分子によって「π-hole」と呼ばれる領域が形成され、周囲の分子との静電的相互作用を利用して特定の分子を認識します。
CO2と芳香族分子の選択的な取り込み
驚くべきことに、特殊な層間の隙間はわずか0.26ナノメートルと小さいものですが、実際には動力学的直径が0.33ナノメートルのCO2や、それに続く約0.59ナノメートルのベンゼンのような芳香族分子も取り込むことができるのです。この機能は、分子が近づくことで結晶が「蛇腹」のように層間が拡がることによって成し遂げられます。
高湿度条件下でも優れた性能
さらに、LACのCO2採取能力は高湿度な環境条件下でも保持されます。これまでに行われた実験では、CO2がN2やCH4、さらにはベンゼンよりも選択的に取り込まれる様子が観察されました。
今後の応用と展望
この技術は、CO2の回収や混合ガスの分離に止まらず、相似した大きさの分子を識別するさらなる可能性も秘めています。また、取り込んだ分子を一次元的に配列させることができるため、分子輸送や物性の制御にも応用できると期待されています。
さらに、現在は静電的な相互作用を設計することで、異なる分子との相性による応答が可能となる材料設計へと発展することでしょう。今後、層間適応結晶はより広範な用途に展開され、新しい材料設計の可能性を切り拓くことが期待されます。
研究の支援
本研究は、JSPS科研費及び芝浦工業大学の支援を受けて実施されました。今後の技術進展に注目が集まります。
まとめ
「層間適応結晶」は、分子との相互作用を利用して柔軟に構造を変更できる新たな材料であり、これまでの固定された孔の設計に依存しないアプローチとして注目されるでしょう。これにより、環境問題の解決や新たな化学反応の可能性が広がることが期待されます。
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芝浦工業大学
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