鳥羽商船高専が東海農政局と連携を強化
令和6年9月4日、三重県鳥羽市にある鳥羽商船高等専門学校(以下、鳥羽商船高専)は、東海農政局三重県拠点との包括的連携協力に関する協定を結びました。この協定は、農林水産省と高等専門学校、さらに高等専門学校と県の拠点間で初めてのものとなり、地域産業の課題解決に向けた重要なステップとされています。
地域産業の課題に取り組む鳥羽商船高専
三重県は、その豊かな自然の中で農林水産業が盛んな地域ですが、担い手不足や環境変化に適応できない問題が深刻です。これらの課題に対して、鳥羽商船高専は「ものづくり」技術者を育成するための教育プログラムであるProject Based Learning(PBL)を通じ、地域産業の問題解決に努めています。PBLでは、学生自身が課題を発見し、その解決策を考え実行することで、実践的な問題解決能力を養います。
技術開発を通じた地域産業の支援
これまでにも、IoT、AI、ロボティクスなどの先進技術を活用し、農業や漁業の現場で課題解決に取り組んできた鳥羽商船高専。これらの技術開発の成果の一部はすでに商品化にも成功しています。その成果が認められ、「Society 5.0型未来技術人財」育成事業の農林水産分野による中核拠点校に選定されるほどの評価を得ました。
新たな出会いがもたらした協力体制
しかし、さらなる地域課題の解決のためには、農林水産業に従事する人々とのより密な関係構築が求められていました。そのような中、鳥羽商船高専は東海農政局との交流を開始しました。東海農政局は地域のネットワークや知識が豊富で、様々な施策を通じて三重県の発展を目指しています。この相互の理解と協力を経て、双方の共通の目的とする地域産業の活性化が実現するための協定が締結されました。
今後の取り組みプラン
協定を結んだことにより、両者は次のような具体的な取組を行う予定です:
- スマート農業技術の実証実験
- 地域における課題発掘とその技術開発
- 農家とのマッチング支援
- フィールドワークや出前授業を通じた農業への関心向上
- スマート農業技術従事者の教育と育成支援
このような取り組みを通じて、鳥羽商船高専は地域コミュニティの中で強固なネットワークを形成しながら、技術開発を進めていく方針です。
鳥羽商船高専の理念と歴史
鳥羽商船高専は、1881年に設立され、日本で最も古い商船系高等専門学校の一つです。船員を養成する商船学科とエンジニアを育成する情報機械システム工学科の2つの学科が存在し、地域社会から世界まで幅広い分野で活躍できる技術者の育成を目指しています。学校は、現代の技術者に必須となる科学的な思考力と高度な知識・技術を兼ね備えています。
この新しい協力関係の確立が、三重県の農林水産業の持続的な発展につながることに期待が寄せられています。