労働市場の未来推計
2024-10-17 14:40:46

2035年に向けた労働市場の展望と課題とは

労働市場の未来推計2035に関する最新レポート



株式会社パーソル総合研究所と中央大学の共同研究により発表された「労働市場の未来推計2035」では、2035年には日本の労働力が1日あたり1,775万時間不足すると予測されています。この報告は、これまでの「人手不足」という捉え方から、新たに「時間」に基づいた労働力需給の把握を試みています。この分析により、さまざまな要因が絡み合う複雑な労働市場の実態が浮き彫りになっています。

明るい未来と暗い現実



発表によると、2035年において就業者数は増加する見込みであり、特にシニア層、女性、外国人就業者がその主な担い手となります。しかし、個々の労働者の労働時間が減少するため、全体としての労働力は不足する結果となります。2023年の時点で労働供給は6,747万人とされており、2035年にはこの数が7,122万人に達するとされていますが、その一方で、従業者1人当たりの年間労働時間は減少し、現状の1,850時間から1,687時間にまで落ち込むと予測されているのです。

性別・年代別の労働力参加率



また、性年代別の労働力参加率は全体的に上昇していく見込みですが、とりわけ女性の60代の労働力率は20ポイント以上も上昇する見通しです。これは女性がより多様な働き方にシフトしていることを反映しています。さらに、外国人の労働市場への参加も増加する見込みで、2035年には377万人に達するとされています。ただし、増加する就業者数にもかかわらず、1日あたりの労働力不足が深刻になるという逆説的な状況が生まれるのです。

業種別の労働力不足



業種ごとの労働力不足の傾向も興味深いものがあります。特に、サービス業での労働力は532万時間/月不足と予測されており、次いで卸売・小売業で354万時間、医療・福祉で226万時間不足が見込まれています。また、職業別では、事務従事者が365万時間、専門的・技術的職業従事者が302万時間不足し、続いてサービス職業従事者が266万時間不足するとされています。

今後の政策提言



このような状況に対し、本プロジェクトでは「労働力の増加」と「生産性の向上」の2つの方向性が重要視されています。多様なショートワーカーの「働きたい」に基づいた労働市場の整備、人的資本への投資、新技術の導入を通じて労働生産性の向上を図るための方策が求められています。これにより、時間の流動性をもたらし、フレキシブルな働き方を実現できる環境が整うことが期待されます。

地域別の労働力不足



さらに、地域別に見ると、特に東北地方での労働力不足が予見されています。この地域では人口減少が加速しているため、労働力の確保は大きな課題となるのです。対策を講じなければ、このタイムボムのような状況は社会全体に悪影響を及ぼしかねません。

まとめ



今後日本が直面する労働市場の課題に対応するためには、個々の方策が重要です。労働力不足という新しい現実を受け入れ、柔軟で多様な働き方の実現に向けて、政策の見直しや企業の努力が不可欠です。2035年を見据えた取り組みが、一人ひとりの働く環境を改善し、社会全体の持続可能性を高めることに繋がるでしょう。


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会社情報

会社名
株式会社パーソル総合研究所
住所
東京都港区南青山一丁目15番5号パーソル南青山ビル
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