ウェルビーイング教育に向けた新しい挑戦
近年、教育界においてウェルビーイングの重要性が高まっています。ウェルビーイングとは、各人が追求する「良い生き方」や「豊かな状態」を意味し、さまざまな分野で取り上げられています。この流れの中で、金沢工業大学は日本電信電話株式会社(NTT)と共同で研究を進め、その成果を映像として公開しました。この映像、「教室におけるウェルビーイングの学び」は、学校教育の現場におけるウェルビーイングの取り入れ方を提案するものです。
実践映像の概要
本映像は、NTTの社会情報研究所が提供するウェルビーイング研究サイトにて視聴可能です。映像では、教育現場でウェルビーイングをどのように実践するか、具体的な指導案や模擬授業の内容が紹介されています。実際の教室を模した構成で、各教科における基本的な概念の理解が促進される内容となっています。
ウェルビーイングの理念
OECDが提唱する「OECD Learning Compass 2030」では、ウェルビーイングを教育の重要なゴールの一つと位置づけています。また、2023年には日本の教育振興基本計画にも「日本社会に根差したウェルビーイングの向上」が掲げられています。教育者や生徒にとって、ウェルビーイングは単なる新しい流行ではなく、今後の社会を支える重要なテーマです。
具体的な授業内容
映像では、ウェルビーイングの基本概念の導入や、NTTが発行した「わたしたちのウェルビーイングカード」を使った価値観の理解と共有が行われます。特に、道徳の教科を例にした模擬授業があり、「泣いた赤鬼」という物語を使って、生徒たちがウェルビーイングの視点を学べる内容になっています。このような実践を通して、教育の現場に新たな視点をもたらす取り組みが進められています。
研究者の情熱
監修を担当した金沢工業大学の平真由子准教授は、長年にわたり道徳教育に従事してきました。教育現場での実践経験を生かし、心理学の視点から道徳教育のあり方を研究し、全国の教員向けに授業づくりの研修を行っています。彼女の情熱が、本映像に反映されていることは明白です。
今後の展望
本内容は、2024年に公開予定の「ウェルビーイング・コンピテンシー ホワイトペーパー」にも繋がる重要な手引きとなることでしょう。今後は、教育現場でのウェルビーイングに関するフレームワークやツールの研究開発が進められ、子どもたちや教師自身がウェルビーイングを学ぶ環境が整えられる見込みです。技術の進展とともに、教育現場でもデジタルを活用した成果が期待されます。
このように、金沢工業大学とNTTによる共同研究は、学校教育におけるウェルビーイングの実現に向けた第一歩となるでしょう。今後の展開に注目が集まります。