アパレル業界が直面する課題とは
近年、アパレル業界はさまざまな要因により厳しい状況に置かれています。特に物流面では人手不足や配送コストの増加が大きな課題として浮上しています。また、トラックドライバーの時間外労働時間の上限規制が2024年4月から施行されることにより、業界全体が「2024年問題」としての影響を受ける見込みです。「2025年問題」と呼ばれる、超高齢化社会に伴う労働力不足や社会保障の増大も懸念材料となっており、これらがアパレル業界のコスト上昇や納期延長を引き起こしています。
新たな解決策、「アパレル物流研究会」の設立
こうした課題に対処するため、株式会社TSIホールディングスをはじめ、アダストリア、バロックジャパンリミテッド、ユナイテッドアローズの4社が共同で「アパレル物流研究会」を設立しました。この研究会の目的は、当該業界の共通課題を明確化し、効率的かつ持続可能な物流の仕組みを構築することにあります。具体的には、参加企業が課題を共有しあい、協力して解決策を見出すことを目指しています。
研究会の具体的な活動方針
「アパレル物流研究会」では、以下のような活動を展開していく予定です。
1. 各社で抱える物流課題を洗い出し、業界全体での共通課題を明確化
2. 将来の物流インフラ共有を視野に入れた実験や検証を実施
3. 参加企業の拡大により、より多くのメリットを業界全体に還元
これにより、アパレル業界全体での物流効率化を図るだけでなく、共同配送の実施を通じて環境負荷の低減を目指しています。
先行する取り組みとその成果
これまでに、共同配送の実験や方式でさまざまな取り組みを行ってきました。例えば、ECモール向けの共同配送が2025年6月から実施予定です。この取り組みでは、異なる企業間での集荷や配送時間の調整、積載率の最大化などが課題とされており、その解決に向けて努力しています。
実際のデータに基づくPoC(Proof of Concept)の実施結果から、荷量の確保や新たな輸送ルートの開発が可能であることが見えてきています。これにより、ファッション業界特有の流通経路の複雑さにも対応できるのではないかと期待されています。
今後の展望と参加企業の拡大
今後は、この研究会に参加する企業を増やすことで、業界全体の課題解決へと繋げていく考えです。企業間の協業を推進し、物流効率を向上させることで、コストの削減だけでなく、環境への配慮も実現できる道筋が開かれるでしょう。この動きは、広くファッション業界にとって利益を生み出し、持続可能な未来に向けた一歩を促しそうです。
「アパレル物流研究会」の発足は、ファッション業界の新たな試みとして注目されています。その成果に期待が寄せられる中、今後の活動にも目が離せません。
参加企業の概要
- - アダストリア: 45以上のブランドを展開し、国内外での広がりを目指す企業です。
- - バロックジャパンリミテッド: 多数の人気ファッションブランドを持つSPA企業です。
- - TSIホールディングス: 幅広いカテゴリーのアパレルを提供し、エンターテインメントの場も創出しています。
- - ユナイテッドアローズ: セレクトショップとして独自の価値観で商品を提供しています。
この共同の取り組みがファッション業界に新たな風を吹き込むことを期待し、多くの企業がこの流れに参加することを願っています。