新踏切事故防止システム
2023-08-29 11:00:09
5GとAIで踏切事故を防ぐ新システムの実証実験が始動
踏切事故を未然に防ぐための取り組み
踏切事故は、鉄道運転事故の中で非常に多く、毎年217件が発生しています。その原因の約43%は、歩行者が踏切を渡りきれなかったことによるもので、事故の未然防止が急務となっています。これに対処すべく、新たな取り組みとして5GネットワークやAIを活用した「踏切内AI滞留検知システム」の実証実験が始まりました。
1. 新システムの背景
従来の踏切支障検知装置は、自動車などの大きな物体比較的高精度に検知可能でしたが、自転車やベビーカー、車いすなど小さな物体の検知精度は課題となっていました。このような状況を改善するため、最新の技術を用いて歩行者の安全を確保しようとしています。
2. システムの特長
この新しいシステムでは、市販のネットワークカメラを利用して踏切周辺の映像を5Gネットワークによって「docomo MEC(R)」に送信し、AIを使って映像をリアルタイムに解析します。これにより、大小問わず線路に滞留する物体を高精度で検知し、もし物体が検知された場合は、施設管理者に即座にアラートが送られます。
さらに、このシステムでは取得した映像を一定期間にわたって保存できるため、遠隔からの確認も可能です。
3. 実証実験の概要
この実証実験は2023年9月から2024年3月までの期間にわたり、常総線の海老原踏切道で行われています。主な検証内容は、大きな物体だけでなく、車いすやベビーカーなどの小さな物体の検出精度、そして既存の障害物検知装置との比較です。
4. 各社の役割と協力
この実験には複数の企業が関与しており、関東鉄道がフィールドを提供し、コシダテックが本システムの開発を担当。ヤシマキザイはシステム導入の提案を行い、NTT Comが5Gネットワークや「docomo MEC(R)」の技術を提供しています。各社が協力して、踏切事故防止に向けた重要なステップを踏んでいます。
5. 今後の展望
この7ヶ月間の実証実験によって得られるデータは、システムの有効性を確認するために非常に重要です。将来的には、システム改修を進め、列車の運転士に対しても接近する列車に関するアラートが発信される機能を追加する予定です。また、本技術を利用すると、線路内への鳥獣侵入の検知や駅構内の異物を検知することで、鉄道運行や駅の安全対策にも大きく貢献できると期待されています。
踏切事故の未然防止は、多くの人々の安全を守るために不可欠な取り組みです。この新システムにより、事故を減少させると同時に、より安全な鉄道の運行が実現することを目指しています。
会社情報
- 会社名
-
株式会社コシダテック
- 住所
- 東京都港区高輪2-15-21 コシダビル
- 電話番号
-
03-5789-1630