円安進行で企業は想定為替レートを大幅に引き上げ!輸入コスト上昇が懸念材料に
日本銀行のマイナス金利解除とYCC撤廃を受け、円安傾向が加速している。2024年5月時点での企業の想定為替レートは平均1ドル=140.88円となり、前年同月比で13.27円も円安水準に。企業は、輸入コスト上昇や収益悪化といった影響を懸念している。
帝国データバンクが実施した調査によると、企業の24.7%が想定為替レートを146~150円と見込んでおり、130円台後半以上を想定する企業は7割を超えている。一方で、円安による価格高騰や販売数量減少による利幅・売上高の減少を懸念する声も聞かれる。
業界別に見ると、農・林・水産、卸売、製造、金融は140円台を想定している一方で、不動産は130円台前半とみている。最も円安水準の農・林・水産と最も円高水準の不動産の間には、15.88円の差がある。
輸出・輸入別では、直接または間接的に輸出を行っている企業は143.11円を想定しているのに対し、輸入を行っている企業は144.56円となっている。特に、直接輸入のみを行っている企業は、直接輸出のみを行っている企業よりも3.91円円安の水準を想定している。
規模別では、大企業は144.16円、中小企業は141.54円、小規模企業は138.14円と、規模が大きくなるほど円安を想定する傾向が見られる。
輸入企業は円安の影響を受けやすく、収益悪化のリスクに注意が必要
2017年以降、実際の外国為替レートと想定レートに大きな差異はなかったが、2021年後半以降は実勢レートが想定レートよりも大幅に円安水準が続いている。2024年には、名目為替レートは年初から半年で約10円も円安が進み、最近では150円台後半で推移している。
企業が適正と考える為替レートは1ドル=110円台から120円台とされていることから、今後も実勢レートとの乖離による輸入物価を通じた企業収益の悪化リスクに注視する必要がある。特に、直接輸入を行う企業は円安の影響を受けやすく、収益悪化のリスクが高い。
企業は、今後の為替動向を注視し、円安リスクへの対応策を検討していく必要がある。
円安と想定為替レート:企業収益への影響と今後の展望
今回の調査結果から、円安が企業収益に大きな影響を与えていることが改めて浮き彫りになった。特に、直接輸入を行う企業は円安の影響を大きく受け、収益悪化のリスクにさらされている。
企業は、想定為替レートを適切に設定し、為替変動リスクを管理することが重要だ。また、円安の影響を緩和するための対策を検討していく必要もある。例えば、調達先の多角化や、製品価格の見直しなどが考えられる。
今後の為替動向は不透明だが、日本銀行の政策変更や米国の金融政策など、さまざまな要因が影響すると予想される。企業は、最新の経済情報に注意し、迅速に対応していくことが重要だ。
今回の調査は、企業が円安リスクを認識し、適切な対応策を講じるための貴重な情報となるだろう。
個人的な感想
今回の調査結果から、企業は円安という厳しい状況下で、収益確保のためにさまざまな努力をしていることがわかる。一方で、円安による輸入コスト上昇は、消費者にも負担として跳ね返ってくる。
企業は、円安リスクを克服し、安定的な収益を確保していくために、革新的な技術開発や海外市場への進出など、より積極的な取り組みが必要となるだろう。
政府も、企業の円安リスク対策を支援するとともに、消費者への負担軽減策を検討していく必要がある。