愛媛県今治市が提案する新しい終活のかたち
愛媛県今治市は、全国から注目を浴びる「住みたい田舎」の一つとして知られています。特に、「住みたい田舎ベストランキング」での受賞歴は、住民や移住者にとっても誇らしいものです。加えて、同市では新たな取り組みとして「終活サポート事業」を開始しました。これは、高齢化が進む地域社会で、「住み続けたい村づくり」を目指す重要なプログラムです。
「終活」という言葉とその重要性
「終活」とは、自らの人生の最終段階に向けた準備のことを指しますが、意外と多くの人にとってはまだ馴染みが薄い言葉です。愛媛県今治市は、この「終活」を身近に感じてもらい、相談しやすい環境を整えようとしています。令和5年度の移住者数は3,000人を超えた一方で、高齢化が進んでおり、今治市の高齢化率は35.8%に達しました。これに伴う不安を和らげるための支援が求められています。
終活サポート事業の概要
1. 終活サポートセンター
今治市は、終活をサポートするための窓口「終活サポートセンター」を設置しました。このセンターでは、住み慣れた地域で自分らしい暮らしを最期まで送るための情報を提供しています。これにより、利用者は自らの意見や希望、不安を相談できる場が整っています。実際の相談者からは、「初めは何を始めていいかわからなかったが、話しているうちに整理できた」という声も聞かれています。
2. 終活情報登録事業
市民が自分の終活に関連する情報を登録できる仕組みも進められています。これにより、急病や事故で意識を失った場合でも、登録済みの情報が家族や病院、警察に伝わります。緊急連絡先やエンディングノートの保管場所など、重要な情報をあらかじめ登録しておくことが可能です。
3. 出張講座「いまばりで終活を始めませんか」
さらに、今治市は終活についての知識を伝える出張講座も開催しています。何かを決めるのが不安な人も、多くの人が参加することで有益な情報を得て、前向きに考えるきっかけになります。講座は、人生の最期に対する心配を軽減するのが目的です。
医療現場からの期待
今治市医師会の木本会長は、このサポート事業に強い期待を寄せています。急病や事故に遭った際、緊急連絡先や医療機関の情報をあらかじめ登録しておくことで、迅速かつ適切な医療が提供できるようになります。高齢化が進んでいる現代において、医療と行政が連携して情報共有を推進する必要があります。
家族会議の重要性
有名人の友近さんも終活の重要性を語っています。彼女は、父親の死をきっかけに、家族間で終活についてオープンに話し合うことの大切さを実感しました。笑いあり、涙ありの時間が、家族の絆をさらに深める手助けになります。終活がすべての人に身近なものになれば、コミュニケーションが円滑になり、家族が前向きに人生を考える契機にできるでしょう。
今治市の未来
今治市は「住みたいまち」から、「住み続けたいまち」へと進化するために、終活サポート事業を通じて地域のコミュニティを強化しています。この取り組みは、少子高齢化が進む今、ますます重要になるでしょう。将来的に何か不安な点があれば、今治市がともに寄り添い、解決策を提供できる場所であることを強調したいです。今後も、安心して暮らせる環境づくりを進めてまいります。