大阪大学発ベンチャーが実現した歯科医院向けの最新菌検査システム

歯科医院での迅速な細菌検査を可能にする「QUON Perio」

大阪大学歯学部発のベンチャー企業、株式会社アイキャット（通称iCAT）が、2025年1月24日に新しいチェアサイド細菌検査システム「QUON Perio（クオンペリオ）」をリリースします。このシステムは、歯科医院で患者の検体を採取し、わずか18分で歯周病の原因菌を特定できる画期的な技術です。

iCATの発展と背景

iCATは、創業から21年を迎え、歯科インプラント治療やCT画像診断などを通じ、業界に革新をもたらしてきました。近年、歯周病治療においては、原因菌を特定するアプローチが重視されつつあり、このトレンドを捉えた形で新たな製品の開発を進めています。iCATは、新型コロナウイルスのPCR検査の開発経験を生かし、今度は歯周病の原因菌に焦点を当てています。

「QUON Perio」の特長

この新システム「QUON Perio」は、小型で持ち運びが可能なモバイルリアルタイムPCR装置を使用しており、歯科医院の環境に柔軟に対応します。従来のPCR検査と比較して、検査時間を約60%以上短縮でき、歯周病の原因、特に悪玉とされる「Red Complex」と呼ばれる三種類の細菌を迅速に測定することが可能です。具体的には、従来の45分の検査が18分で完了するという劇的な効率化が図られています。

患者へのメリット

患者の負担を大幅に軽減することができ、唾液検体を用いることで検体採取の手間が省かれ、手技に依存しない検査が実現されました。これにより、医院内での診療時間の有効活用が可能となり、検査結果を基にした的確な治療方針や患者への説明がしやすくなります。

製品の構成と各種試薬

「QUON Perio」のシステムは、モバイルPCR装置と、3種類の歯周病原因菌を同時に検出できるPCR試薬から成ります。さらに、検査結果を基にリスク判定を行い、患者管理を行うためのウェブシステムも搭載されています。これにより、過去の検査データとの比較や、患者向けの説明資料を生成することも可能です。