横尾忠則の初作品集、完全復刻の意義
2024年11月26日、株式会社トゥーヴァージンズから横尾忠則の初作品集『横尾忠則遺作集』が復刻版として発売される。この作品集は1968年に初めて刊行され、横尾忠則というアーティストの若き日の才能を余すことなく収めた貴重なものだ。
この完全復刻版には、京都労音ポスターを始めとした日本デザインセンター時代の代表作や、数々の名作ポスターが含まれている。具体的には、「TADANORI YOKOO」や「腰巻お仙」といった印象的なポスターの他、ピンクガール・シリーズなども収録されており、横尾忠則の多才さを感じ取ることができる。また、貴重なポートレートや家族の写真も本書に収められており、彼の人間性や背景に触れることができる。
編集は著名なデザイナーである粟津潔が手掛けており、その視点からも横尾忠則の作品を再評価する試みがなされている。編集者によるこの作品集は、アートだけでなく、流行やデザイン史においても重要な位置を占めている。
重要なテキスト
本書には、著名な作家や評論家によるテキストも収録されている。特に三島由紀夫の序文が目を引き、「何という無礼な芸術であろう。このエチケットのなさ!」といった力強い言葉で始まる。三島は横尾の作品を「狂人の芸術から救っているのは、彼の外部への関心」であるとし、アートの背後にある社会的な視点を強調している。また、寺山修司や田中一光、高橋睦郎などが寄稿した横尾忠則評伝も収録され、彼の作品が持つ深さについての洞察を読者に提供する。さらに、掲載作品には英文解説があるため、海外のアートファンにとっても理解しやすい内容となっている。
書籍の詳細
『横尾忠則遺作集』はA4判の並製本で、132ページにわたり横尾忠則の初期作品が収められている。また、定価は税抜き5,000円、税込みで5,500円となっており、アートブックとしては妥当な価格だろう。ISBNは978-4-86791-010-8で、特にコレクターやアート好きには手に取ってほしい一冊である。
アーティストとしての横尾忠則
横尾忠則は兵庫県出身の美術家であり、その経歴は非常に多彩である。1972年にはニューヨーク近代美術館で個展を開いた後、各国のビエンナーレに出品するなど、国際的に名を馳せることになる。国内外の美術館での個展も数多く開催されており、現代美術における影響力は計り知れない。
また、2012年には兵庫県立横尾忠則現代美術館が開館し、彼のアートをより身近に感じることができる場が提供されている。彼の功績は、2015年には高松宮殿下記念世界文化賞を受賞するなど、多くの賞賛を受けている。
まとめ
『横尾忠則遺作集』の復刻は、アート界における重要なマイルストーンと言えよう。若き日の横尾忠則の才能、そして彼が描き出す色彩とイメージの深さを改めて感じる機会となるでしょう。この特別な作品集は、アートファンはもちろん、横尾忠則に興味を持つすべての人にとっての必読書となることでしょう。