トマ・ピケティとマイケル・サンデルの新刊『平等について、いま話したいこと』
2025年1月17日、トマ・ピケティとマイケル・サンデルの共著『平等について、いま話したいこと』が早川書房より発売されます。本書は、現代社会における「平等」というテーマについて深く掘り下げた重要な一冊です。両者はそれぞれの専門分野を生かし、格差や不平等が私たちに及ぼす影響について幅広く議論を展開しています。
現代に求められる「平等」という視点
資本主義の進展とともに、格差はますます広がっています。このような中、教育やヘルスケアの「脱商品化」はどのように実現されるべきなのか? 左派がなぜ力を失ったのか? 大学入試や議会選挙において、くじ引きの導入が有効な手段となり得るのか? こうした問題を掘り下げる中で、ピケティとサンデルは平等の意義を再確認すると同時に、具体的な解決策も模索しています。
まさに世界が求めるテーマ
現在、アメリカではドナルド・トランプ氏が再選を果たし、平等という課題はますます重要性を増しています。人々の日常生活に影響を与えるこの課題について、両氏の対談は時宜にかなったものとなっています。著者たちは、格差が経済に及ぼす非効率さや、社会全体の荒廃をどのように解決するかを真剣に考え、読者に問題提起を行っています。
「不平等」とは何か
不平等に関する議論では、単に経済的な側面だけでなく、社会的な側面も考慮する必要があります。吉田徹氏(政治学者)は、本書を通じて不平等が人間同士の関係をいかに歪め、個人を卑屈にさせるのかを理解できると述べています。両者がこの問題に焦点を当てることで、私たち自身の立場を再評価する重要な機会を提供しています。
本書の構成と特長
本書は、以下の章構成から成ります:
1. なぜ不平等を懸念するのか
2. お金はもっと重要でなくなるべきか
3. 市場の道徳的限界
4. グローバリゼーションとポピュリズム
5. 能力主義
6. 大学入試や議員選挙にくじ引きを取り入れるべきか
7. 課税、連帯、コミュニティ
8. 国境、移民、気候変動
9. 左派の未来──経済とアイデンティティ
各章ではそれぞれのテーマに対し深く議論され、ピケティとサンデルの独自の視点が存分に反映されています。また、巻末には両著者の主要著作ガイドも掲載されており、彼らの考えをさらに理解するための参考として役立つでしょう。
ピケティとサンデルのプロフィール
トマ・ピケティはフランスの経済学者で、パリ経済学校の教授です。「21世紀の資本」の著者として、富の集中の問題を解明してきました。彼の洞察は多くの読者に支持され、さまざまな国でベストセラーとなっています。
マイケル・サンデルはアメリカの政治哲学者で、ハーバード大学の教授です。彼の著作『これからの「正義」の話をしよう』は世界的に有名で、日本でも非常に影響力のある一書です。両者の出会いは、まさに現代に必要な思考の融合にあたります。
結論
『平等について、いま話したいこと』は、経済や政治、哲学を横断する重要なテキストであり、現代社会の様々な問題に鋭く切り込んでいます。2025年の発売を前に、この対談を通じてどのように「平等」が私たちの未来を形作るのか、一人一人が考えていく必要があります。これまでにない視点から、平等の重要性を再認識させる本書を、ぜひ手に取ってみてください。