東急プラザ原宿で新たな意義を創造する社会実験「世界に字幕を添える展」

東急プラザ原宿「ハラカド」新たな社会実験「世界に字幕を添える展」

2025年5月12日から18日まで、東京の東急プラザ原宿にて「世界に字幕を添える展」が開催されています。このイベントは、聴覚障がい者や訪日外国人観光客が抱える意思疎通の課題を解消するための取り組みとして注目を集めています。主催は株式会社アイシンで、事業推進部の中村正樹氏がお話しするように、このイベントはコミュニケーションの壁を取り払う新たなスタンダードを築くことを目指しています。

「YYSystem」と呼ばれる音声認識アプリが会場の各所に設置され、日常の会話が字幕に変わるという体験を来場者に提供しています。このシステムは、耳が聞こえにくい方や言語が異なる方々が、安心してコミュニケーションできる環境作りを進めるもので、実際に音声をテキスト化し、耳の不自由な方にも情報を届ける役割を果たします。

社会実験の初日には盛大なオープニングイベントが行われました。会場には多くの来場者が詰めかけ、ハラカドの新たな挑戦に対する期待感が高まりました。ゲストには、ろう者俳優である忍足亜希子さんとデフリンピックの日本代表である亀澤理穂さんが招かれ、トークセッションが展開されました。

体験内容と実施店舗

「世界に字幕を添える展」では、計21店舗に「YYSystem」が導入され、様々なシチュエーションで訪れる人々が楽しむことができるコンテンツが盛りだくさんです。居酒屋やカフェ、美容室において音声認識による字幕表示や液晶プレートを用いたコミュニケーション支援が行われています。

たとえば、美容院の「PEEK-A-BOO」では、音の聞こえにくい環境に特化して「YYSystem」を導入しており、施術時でもコミュニケーションが円滑になる工夫がされています。また、飲食エリアには「字幕相席シート」が設けられ、国や言語の壁を越えて、誰もが食事を楽しめる空間が生まれています。

オープニングイベントのハイライト

初日には館内の様子を紹介する「字幕のあるインフォメーション」が設置され、スタッフが字幕で話しかける形式で来場者を迎えました。忍足さんは「館内のアナウンスが聞こえない場合、緊急時に情報が得られない不安がある」と課題を訴え、視覚的情報の仕組みの重要性を強調しました。

また、来場者からは「このアプリがあればインバウンドの方や耳が聞こえない方も楽しんで出かけることができそう」といった感想が寄せられ、参加者の関心を集めました。

今後の取り組みと期待

ハラカドは、今後も「YYSystem」を導入した店舗を増やし、来場者から寄せられた意見をもとに、更なる改善へとつなげていく予定です。最終日には「字幕付き会議イベント」が開催され、来場者とのディスカッションを通じて社会の課題に取り組むためのアイデアを共有します。

このような動きを進めるハラカドは、今後も「誰も取り残さない社会」の実現に向け、積極的に挑戦し続けることでしょう。