あみだくじから社長に!ビジョンメガネの再生物語
大阪・関西の経済界で注目を集めるリーダー、安東晃一氏が率いるビジョンメガネが、経営破綻の危機から見事な復活を遂げた。その背景には、ユニークな出発点と「人を生かす」経営戦略があった。
経営破綻の危機
ビジョンメガネは1976年に創業され、多くの関西人に知られるブランドである。だが、2013年に事実上の倒産に直面した。倒産の原因は、価格競争の激化にあった。低価格で販売する競合他社が出現し、ビジョンメガネは囲い込まれ、業績は失速した。そして、安東氏は社長に就任することになったが、その経緯がまた特異である。
社長になることをあみだくじで決められた安東氏は、当初その任命を躊躇していた。しかし、運命の分かれ道での選択が、彼自身の経営哲学と出会うきっかけとなった。民事再生法の適用申請や、店舗の閉鎖、従業員のリストラも決断しなければならず、暗い日々が続いた。彼の心の中には、「どうすれば立ち直せるのか」という悩みが募るばかりだった。
「人を生かす」経営への転換
このような厳しい状況を打破するため、安東氏は一つの理念を立てた。「人を生かす」という経営の軸。店舗のスタッフが地域の顧客と深く関わり、まるで「かかりつけ医」のような役割を果たすことを目指した。
ビジョンメガネの店舗では、無料でメガネのクリーニングを実施しており、他社製品でもOKという徹底した顧客サービスが特徴だ。また、視力測定時には生活環境を丁寧にヒアリングし、顧客に最適な提案を行う。
さらに、社内での教育プログラム「マエストロ」を導入し、スタッフの接客スキルを向上させた。安東氏は、顧客とのコミュニケーションが会話だけでなく「信頼」を築くことに直結することを理解し、これを推進した。
製品革新と共に
ビジョンメガネが展開する製品も、戦略的な変化が生まれた。自社のオリジナルブランドにより、品質や機能にこだわった製品が続々と登場。特に、曲げても壊れない「形状記憶メガネ」は2001年の発売以来、累計66万本以上の販売を記録している。顧客のニーズに合わせた革新性が、ブランド価値を向上させたのだ。
スタジオでは、形状記憶メガネを実際に試し、どのような耐久性を持つかを検証。さらには、激しい動きでも落ちることのない眼鏡も紹介され、製品の実力が示された。
結論
安東晃一氏が手掛けるビジョンメガネの再生は、「人を生かす」という理念を中心にした経営戦略によるものだ。これにより、顧客との信頼関係を築き、新たな価値を生み出している。その経営手法は、多くの企業にとっても新たな道しるべとなるのではないだろうか。